質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第九二号

金融審議会会長らが作成した市場ワーキング・グループ報告書を受け取らないとすることが支離滅裂かつ法律違反であること等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十六日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   金融審議会会長らが作成した市場ワーキング・グループ報告書を受け取らないとすることが支離滅裂かつ法律違反であること等に関する質問主意書

一 金融庁設置法における金融審議会設置の趣旨について説明されたい。また、金融審議会の委員及び専門委員を任命した者は誰か。

二 本年六月三日に公表された金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(以下「当該報告書」という。)を作成した当該ワーキング・グループの座長及び委員は金融審議会の委員又は専門委員で構成されていると認識して良いか。また、当該座長は金融審議会の会長と同一人物であると認識して良いか。

三 前記一及び二について、麻生大臣は当該報告書について、「今の政府のスタンスとは全く違ったもの」との理由により、「正式な報告書として受け取らない」、「政策遂行の参考というような資料に今後なることはない」との見解を表明しているが、金融審議会の会長が座長を務め、当該座長を始めとして安倍総理が任命した委員及び専門委員のみで構成される市場ワーキング・グループの報告書を、当該報告書が金融審議会の総会で承認されるかどうかにかかわらず、「今の政府のスタンスとは全く違ったもの」との理由でそれを「受け取らない」として物理的に受け取りもせず、「政策遂行の参考というような資料に今後なることはない」としてその内容に関知すらしないとすることは、金融庁に金融審議会を置くことを定めた金融庁設置法第六条及び第七条に反する行為ではないか。

四 前記一及び二について、政府は、麻生大臣が当該報告書を受け取らないことについて、受け取らなければならないと明記した法律の条文は存在しない旨を主張しているが、金融庁設置法第六条及び第七条の趣旨に照らせば、麻生大臣自らが同法第七条第一項に基づいて諮問した事項に対する当該報告書を、それが金融審議会の総会で承認されるかどうかにかかわらず、「受け取らない」とすることは法律上許されないと解するべきではないのか。

五 金融審議会は金融庁設置法第七条第二項において、国内金融等に関する重要事項について「内閣総理大臣、長官又は財務大臣に意見を述べること」との権限が付与されている。こうした金融行政の適切性を確保するための強力な権限までが付与されている金融審議会を設置し、金融審議会の会長が座長を務めるとともに当該座長を始めとして安倍総理が任命した委員及び専門委員のみで構成される市場ワーキング・グループの報告書を、当該報告書が金融審議会の総会で承認されるかどうかにかかわらず、「今の政府のスタンスとは全く違ったもの」との理由でそれを「正式な報告書として受け取らない」及び「政策遂行の参考というような資料に今後なることはない」とすることは、金融庁に金融審議会を置くことを定めた金融庁設置法第六条及び第七条に反する行為ではないか。

六 過去に、法律に基づく国務大臣による審議会への諮問に対する答申に係る報告書等について、諮問を行った国務大臣がこれを受け取らなかった事例は存在するのか。

七 前記一及び二について、市場ワーキング・グループの座長は金融審議会の会長と同一人物が務め、かつ、当該座長を始めとして安倍総理が任命した委員及び専門委員のみで当該ワーキング・グループは構成されているのであるから、麻生大臣が「正式な報告書として受け取らない」、「政策遂行の参考というような資料に今後なることはない」とする報告書を当該ワーキング・グループが取り纏めた責任は、安倍総理及び麻生大臣にあるのではないか。もし、政府において、当該報告書をそれが金融審議会の総会で承認されるかどうかにかかわらず、「正式な報告書として受け取らない」及び「政策遂行の参考というような資料に今後なることはない」とするのであれば、安倍総理は金融審議会そのものが機能不全の状態にあるとして、即刻、会長等を罷免する必要があるのではないか。

八 前記一及び二について、政府においては、当該報告書を作成した市場ワーキング・グループの座長は金融審議会の会長として現在においても適任であると考えているのか。また、当該会長と共に当該報告書を作成した安倍総理が任命した金融審議会の委員及び専門委員は現在においても金融審議会の委員及び専門委員として適任であると考えているのか。

  右質問する。