質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第八六号

「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」の成立を受けての心臓病対策等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十六日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」の成立を受けての心臓病対策等に関する質問主意書

 日本の三大疾病に属する心臓病、脳卒中など、循環器病対策の基本法として、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病対策に係る基本法」(以下「基本法」という。)が、昨年十二月に成立、公布された。
 この基本法に基づいて、循環器病の予防や医療機関の整備、患者の生活の質の向上など、総合的対策に着手することが可能になったのは、非常に大きな意義があると考える。政府として、必要な政策(法制上、財政上の措置を含む。)を着実に進めて行くことが期待されるが、この基本法の制定に関連して、以下、質問する。なお、答弁に当たっては、基本法により策定される国の基本計画等の検討状況にかかわらず、基本法成立後の現時点における政府の見解を可能な限り示されたい。

一 予防推進に関連して、基本法の「心血管疾患」としての心不全については、虚血性心疾患、高血圧症性心疾患、心筋症、心臓弁膜症、感染性心内膜炎等が、その原因疾患として代表的であるが、それら個別の原因疾患は心不全にいたるプロセス上にあるという事実が社会に十分に理解されていないと懸念される。予防推進の一環として、それら原因疾患そのものについての社会的理解を深めるような啓発が必要だと考えるが、政府の見解を問う。

二 前記一について、当該原因疾患のうち、虚血性心疾患、高血圧症性心疾患、心筋症については、広く行われている心電図検査や血液検査で診断が可能であるが、心臓弁膜症を発見するための聴診、心エコー、カテーテルなどの心臓検査や、感染性心内膜炎の発見のための血液培養と心エコー検査などは、現状で十分に行われているとは言い難いとの指摘がある。これらの早期発見・早期治療のためには、検査項目の見直しの検討が必要だと考えるが、政府の見解を問う。

三 心臓血管系の治療率は、アメリカやドイツといった他国と比較し全体的に低いとの指摘があるところ、日本では、近隣の医療機関から治療施設への経路が実際の機能上は確立されているとは言い難いと指摘等されていることや、都市部以外の治療施設では、専門医の不在により治療導入できないと指摘等される医療圏が存在していることが原因の一端として考えられるが、政府の見解を問う。

四 医療関係機関の連携強化に関連して、例えば、患者に聴診がされず、また心エコーのできる病院への紹介がないことによって、未治療の患者がそのまま放置されている恐れが懸念される。そのような状況への対処として、疾病の早期発見のための検査ができる医療機関間での連携を、早急に進めるべきと考えるが、政府の見解を問う。

五 今後の循環器病対策を科学的かつ有効に進めて行くためにも、前記一で示すような原因疾患の潜在患者数、発症率などについても、わが国の実情をデータによって正確に把握することが重要だと考えるが、そのための今後の施策の在り方についての政府の見解を問う。

六 基本法の附則第三条においては、「失語症」との疾患名を明示した上で失語症に関する対策が規定されているが、当該条文に明記されている「適切な診断及び治療を受けること」、「その社会参加の機会が確保されること」、「脳卒中の後遺症に関する啓発及び知識の普及」、「脳卒中の後遺症に係る医療の提供を行う医療機関の整備」、「医療機関等の間における連携協力体制の整備」、「脳卒中の後遺症を有する者が社会生活を円滑に営むために必要な支援体制の整備」等の事項について、失語症及び失語症患者においてどのような課題が存在し、これらの解決のためにどのような対策が必要と考えているか、政府における現時点での検討の取り組み等を含め、示されたい。

  右質問する。