質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第八三号

二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けた障害者の受け入れに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十六日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けた障害者の受け入れに関する質問主意書

一 二〇一七年五月に国際パラリンピック委員会(IPC)から「日本のホテルはバリアフリー対応の客室が少ない」と指摘された。二〇〇六年施行の高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という。)施行令では、五十室以上のホテルは一室バリアフリールームを設置すれば良いという基準だったため、大規模なホテルでもバリアフリールームが一つしかないという実態だった。昨年、同施行令が改正され、五十室以上のホテルは一%以上のバリアフリールームを設置することが義務づけられ、本年九月から施行されることとなった。この義務化は来年のオリンピック・パラリンピックに向けた障害者の受け入れに向けた前進ではあるが、一%という数値基準は国際的にみて非常に低い。外国では、例えば、アメリカでは障害のあるアメリカ人法に基づいて、車いす利用者が利用できる客室は三%、イギリスでは二十の客室に車いす利用者が利用可能な部屋が一室必要とされている。来年の東京オリンピック・パラリンピックで多くの障害を持つ外国の方が来日すると思うが、このままではバリアフリー客室が足らないのは明白である。ホテルのバリアフリー化に関し、東京都はバリアフリー法第十四条第三項の委任条例を策定し独自に取り組んでいるが、オリンピック・パラリンピックは東京だけで行うものではなく、また、来日した障害者に他の地域の観光を促すことも必要であり、国レベルでの取り組みが求められるのではないか。オリンピック・パラリンピックをレガシーとして未来に残していくためには、バリアフリー法施行令の基準を現行の一%から引き上げることなどの対応が必要であると考えるが、国としてどのような対応を考えているのか。

二 空港アクセスバスのバリアフリー化が遅れている。現在、全国で約一万台ある空港アクセスバス・長距離バスのうち、バリアフリー化されて車いすのまま乗車できる車両は極めて少なく、特に地方空港では深刻な問題である。多くの地方空港は市内へのアクセスがタクシーとバスしかなく、バスに乗れなければ高額のタクシーしか手段がない。さらにUDタクシーも地方ではほとんど普及していない。これでは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックで来日する障害を持つ外国の方が地方に観光に行けない。これを改善するために、バス会社が新規に購入する車両にはバリアフリー化を義務付ける等の施策が必要と考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。