第198回国会(常会)
質問第六六号 陸上自衛隊オスプレイの今後の取扱いに関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和元年五月三十一日 青木 愛
参議院議長 伊達 忠一 殿 陸上自衛隊オスプレイの今後の取扱いに関する質問主意書 防衛省は陸上自衛隊のオスプレイ(以下「陸自オスプレイ」という。)を令和二年三月に陸上自衛隊木更津駐屯地に暫定的に配備する方針であるとの報道があった。この政府方針に関し、本年五月二十四日に原田防衛副大臣から木更津市長及び同市議会議長への説明が行われた(以下「説明会」という。)。地元市民は平穏な生活が脅かされるのではないかとの大きな不安を抱えている。正式な配備先が確定して初めて暫定配備と言えるのであり、現状のままの暫定配備ではそのまま正式配備へと移行する懸念を払拭できない。以下、陸自オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備を容認するものではないことを前提に、説明会での政府側の発言について質問する。 一 陸自オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備は決定しているのか、明らかにされたい。また、説明会で原田副大臣は、丁寧な説明、プロセスを経ず、一方的に暫定配備を行うことは考えていない旨の説明をしたとされる。この「丁寧な説明、プロセス」が何を意味するのかについて明確に示されたい。また、防衛省は「今後も引き続き、事務方等を通じ、あるいは説明会等も通じまして、キャッチボールを」すると述べているが、「事務方等」とは防衛省のどの担当部署を指しているのかについて示されたい。 二 説明会において原田副大臣は、ご了解を頂ければ木更津駐屯地でオスプレイの仮運用をすると発言し、防衛省も、地元のご理解を頂いた上で運用を開始したいと述べたとされるが、この「仮運用」や「運用」とは何か、内容を具体的に説明されたい。 三 原田副大臣は、佐賀空港における施設整備が完了するまでの一時的な措置として、「様々な選択肢」を検討したとしているが、木更津駐屯地への暫定配備以外の選択肢として、具体的にどのような措置を検討したのか。また、配備の条件を満たす自衛隊の駐屯地・基地の中で、相浦駐屯地までの距離が「最も近い」のが木更津駐屯地であるとしているが、木更津駐屯地と相浦駐屯地との間には約千キロメートルの距離があり、決して近いとは言えない。木更津駐屯地の他にどのような駐屯地・基地を検討したのか、明らかにされたい。 四 防衛省は想定されるオスプレイの訓練として、計器飛行訓練、編隊飛行訓練を挙げているが、それぞれどのような内容の訓練か。また、山岳部の訓練空域等での訓練を想定しているとの点については、当該訓練空域までの経路に人家や学校等があれば危険を回避できないと考えるが、政府の見解を伺う。さらに、防衛省が「機体導入後当面の間は」行わないとしている空中給油訓練については、危険度が高いため、そもそも行うべきではないと考えるが、政府の見解を伺う。 五 説明会における防衛省資料によれば、陸自オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備により、令和三年度末以降は一日平均十五回、年間四千五百回ほど離着陸回数が増えるとされている。危険性はもとより、騒音、低周波振動により、周辺住民の命や暮らしに多大な影響を及ぼすことになると考えるが、政府の見解を示されたい。 六 防衛省は、本年三月から令和二年五月まで、米国ノースカロライナ州所在の米軍基地において、陸自オスプレイのパイロット及び整備員の教育訓練を行うことを公表している。この点に関し、本年四月九日の衆議院安全保障委員会において、防衛省整備計画局長は、「佐賀空港における施設整備が完了するまでの一時的な処置について検討した結果、訓練基盤や支援体制が整っている米国において陸自オスプレイを使用して教育訓練を行うことが陸自部隊の能力向上に効果的であり、国内への輸送後も、より安全な運用が可能となるという考えによるものでございます。」と答弁したばかりであり、陸自オスプレイは現状のまま米国に留め置くべきと考えるが、政府の見解を伺う。 七 オスプレイは事故が多く、平成二十九年八月にはオーストラリア東部の沖合において米軍オスプレイが墜落し、三名の死者が出ている。また、日本においても平成二十八年十二月に沖縄本島の沖合で不時着水し、海上で大破する事故が発生したことは、今なお衝撃的である。これらの他にも緊急着陸等を相次いで起こしているため、このような機体を配備すれば周辺住民の命と暮らしが脅かされることは明らかである。防衛省は木更津市に対し、「オスプレイは安定した操縦・整備が可能であり、信頼できる機体である」と述べているが、何を根拠にそのようなことが言えるのか。国民の納得する根拠を示されたい。そもそもこのような事故の多い機体を自衛隊が保有する必要があるのか。オスプレイの配備はかえって国民の平穏な生活を脅かす危機となるのではないか。オスプレイは輸送機であり、既に自衛隊において運用実績があるCH47等の運用で対応可能と考える。加えて、現在、正式な配備先として防衛省が交渉している佐賀県では未だ土地取得や工期等について何も確定しておらず、漁業関係者を含めた多くの地元住民も反対している。先んじて陸自オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備を決定することは、日本国内におけるオスプレイの正式配備を無理矢理に推し進めることにもなりかねず、容認できない。オスプレイの導入はそもそも取りやめるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |