質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

包括委任規定を設けようとする内閣提出法律案に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十一年三月二十五日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   包括委任規定を設けようとする内閣提出法律案に関する質問主意書

 近年、法律の実施に必要な事項を政省令へ包括的に委任する規定(以下「包括委任規定」という。)を含む閣法が増加しているように見受けられる。このような閣法について、私は、法律による行政の原理の意義を埋没させるおそれがあるとともに、立法府の空洞化を招来しかねないとの問題意識を有している。
 そのため、過去の国会における包括委任規定を有する閣法の件数等を再三にわたり質問主意書で尋ねてきた。しかし内閣は、「これまでに内閣が提出した法律案の数は少なくない上、特に、一部改正法案については、これが成立し施行されると、改正対象の法律に溶け込むものであって、これらの事情を踏まえると(中略)内閣が提出した法律案について、その具体的な条文の検索や検討を行うことに膨大な時間を要する」(内閣参質一九七第一五号)として、国会法第七十五条第二項後段に基づき答弁を延期することができるにもかかわらず、実質的に答弁を延期することなく、調査を拒否してきた。
 他方、第百九十六回国会においては、内閣が同国会に提出した法律案のうち包括委任規定を設けようとするものの件数等について、調査の上、答弁している(内閣参質一九六第一一九号)。
 そこで、以下質問する。

一 内閣が今国会に提出した法律案のうち、「この法律に定める(又は「規定する」)もののほか(又は「外」)、この法律の実施のため(に)必要な事項は、命令で定める」、「この法律に定める(又は「規定する」)もののほか(又は「外」)、この法律を実施するため(に)必要な事項は、命令で定める」、「この法律に定める(又は「規定する」)もののほか(又は「外」)、この法律の実施(又は「施行」)に関し必要な事項は、命令で定める」又は「この法律に定める(又は「規定する」)もののほか(又は「外」)、この法律(又は「節」)の規定の実施に関し必要な事項は、命令で定める」との規定を設けようとするものの件数、件名及び当該規定の条文番号を全て挙げられたい。この場合の「命令」には、政令、内閣府令、「総務省令」のような個別の省令及び共同府省令を含めるものとする。

二 第百九十六回国会に内閣が国会に提出した法律案の件数(六十五件)に占める包括委任規定を有するものの件数(七件)の割合は、十・八パーセントであった。内閣が今国会に提出した法律案の件数に占める前記一の件数の割合を挙げられたい。あわせて、両割合に対する評価を示されたい。

三 平成三十年五月三十一日の参議院総務委員会において、内閣法制局長官は、「個別の法律におきましてそのような実施命令の根拠規定を設けるかどうか、例示をするかどうかも含めてでございますけれども、それはまさに個別の法律の具体的な内容に応じまして適切に判断されるべきものであると考えております」と答弁している。内閣法制局は、各府省庁が作成した法律案の原案を審査する際、当該法律案又は当該法律案により改正しようとする法律(以下「当該法律案等」という。)に例示のある実施命令の根拠規定がある場合、当該規定を例示のない実施命令の根拠規定に変更するよう、あるいは当該法律案等に実施命令の根拠規定がない場合、例示のない実施命令の根拠規定を設けるよう当該府省庁に求め、又は助言することはあるか、明らかにされたい。

  右質問する。