質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

田中実氏の生存情報に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十一年二月二十一日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   田中実氏の生存情報に関する質問主意書

 政府が拉致被害者と認定している田中実氏に関し、平成三十年の参議院予算委員会及び参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会での私の質疑を踏まえ、質問いたします。

一 私が平成三十年三月二十八日の参議院予算委員会において、「北朝鮮側は田中実さんについてどのように通達してきましたか」と質問したところ、河野外務大臣は、「今後の対応に支障を来すおそれがあることから、その内容については差し控えます」と答弁しました。
 北朝鮮側から田中実氏について通達があったのは事実ですか。また、河野外務大臣の答弁にある「今後の対応」とは田中実氏の帰国に関する対応のことですか。「今後の対応」の中身を具体的に明らかにしてください。

二 私が前記一の予算委員会において、「北朝鮮は二〇一四年に、田中さんは生存していると、そういう報告をしてきたと報道されていますが、事実ですか」と質問したところ、安倍総理は、「コメントすることによってこれを明らかに、明らかにその奪還につながらない場合があるということは御理解をいただきたい」と答弁しました。
 安倍総理の答弁にある「明らかにその奪還につながらない場合がある」とは田中実氏の帰国につながらない場合があるとの趣旨ですか。「その奪還」の中身について具体的に明らかにしてください。

三 北朝鮮側から平成二十六年に田中実氏の生存について通達があったとされてからすでに四年以上が経過しています。政府は、この間、「今後の対応に支障を来すおそれがある」ことを理由に具体的な対応を国民に明らかにしていません。
 拉致被害者の生存情報があるにもかかわらず具体的な対応を明らかにしないことは、「私の内閣で拉致問題を解決する」と明言した安倍総理の責任問題に直結するのではありませんか。安倍総理は「今後の対応に支障を来すおそれがある」場合には、国民に何も語らずにいずれ退陣されるのですか。

四 共同通信は、平成三十一年二月十五日付けで、拉致被害者の田中実氏といわゆる特定失踪者の金田龍光氏の両名が、それぞれ妻子とともに北朝鮮で暮らしていると報じています。
 この件に関して、私が平成三十年六月四日の参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会において、「政府認定拉致被害者の一人が生きていたという報道があったら、それが事実だったら、政府、発表すべきじゃないんですか。あるいは、河野大臣、平壌に行って、本人に会って、どういうことなのかって聞かなきゃいけないんじゃないんですか」と質問したところ、加藤拉致問題担当大臣(当時)は、「慎重に対応しなければならない」と答弁しました。
 政府は、田中実氏及び金田龍光氏の生存情報を受け、担当者を平壌に派遣して両名と面会のうえ、本人確認及び帰国についての本人の意思確認をする用意をしていますか。

五 国内には、ストックホルム合意に基づき、全ての拉致被害者を一人からでも順次取り戻すべきという主張と、全ての拉致被害者の即時全員一括帰国は譲れないという主張が並立しています。
 また、安倍内閣の方針は、ストックホルム合意に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くすというものです。
 政府はストックホルム合意に基づき、田中実氏及び金田龍光氏の救出を目指すのですか。それとも、全ての拉致被害者の生存状況が判明するまで田中実氏及び金田龍光氏の救出を見送るのですか。

六 国内には、政府が拉致被害者と認定した者の家族等で作る「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」と、北朝鮮による拉致の可能性を排除できないいわゆる特定失踪者の家族等で作る「特定失踪者家族会」があり、どちらも懸命に救出活動を続けています。
 政府はこれら両家族会にその家族が所属する拉致被害者又は特定失踪者を優先して北朝鮮から救出するというお考えをお持ちですか。また、政府が田中実氏の救出に消極的なのは、田中実氏のご家族が前記拉致被害者家族連絡会に所属していないからなのですか。

  右質問する。