質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第一一号

内閣官房長官の定例記者会見における特定の記者の質問を制限する発声等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十一年二月六日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   内閣官房長官の定例記者会見における特定の記者の質問を制限する発声等に関する質問主意書

 内閣官房長官の定例記者会見(以下「記者会見」という。)は、慣例として、出席している記者の中から、内閣官房長官が質問を行う記者を直接指名して順次質問を受け付け、その質問に対して個別に答弁を行うという形式で行われている。菅官房長官は、平成三十一年一月二十五日午後の記者会見において、記者会見のあり方に関して問われた際、「私の会見というのは、記者会の皆さんが主催をされているという会見でありますので、政府の公式の見解を述べる場でもあり、今のようなものについては、大切にしていきたいなという風に思っています。」と述べ、国民に対して政府の公式見解を発信する場として記者会見を大切にしたいとの見解を示した。
 その一方で、菅官房長官の記者会見においては、特定の記者に対して、その質問の最中に「質問、簡潔にお願いします。」あるいは「質問に移ってください。」等の再三再四の発声(以下「当該発声」という。)によって記者の質問を急かす者(以下「当該人物」という。)がおり、当該発声により当該記者の質問時間、質問件数及び質問内容が制限されることによって、当該記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害されかねない状況となっている。
 以上を踏まえて、記者会見における特定の記者の質問を制限する当該発声等に関して政府の認識を確認すべく以下質問する。

一 当該人物の氏名と所属を明確に示されたい。

二 記者会見において、その質問の最中に当該人物に当該発声を通算十回以上されたことのある記者は何名存在するか、明確に示されたい。

三 当該人物は、記者の質問開始から十秒経たないうちに当該発声を行うこと(以下「当該対応」という。)が再三あるが、当該人物に当該対応をされたことのある記者は何名存在するか、明確に示されたい。

四 前記三に関して、当該人物が当該対応を行っている理由について明確に示されたい。加えて、記者の質問開始から十秒経たない段階で、当該質問が簡潔なものであるか、あるいは冗長なものであるのかを、当該人物はいかなる基準で判断しているのか、明確に示されたい。

五 当該発声及び当該対応は、記者の質問時間、質問件数及び質問内容の全てあるいは一部を制限する目的で行われているとの理解でよいか。

六 当該発声及び当該対応によって記者の質問を制限することは、記者の質問権のみならず、国民の知る権利をも侵害するものであり、前文に記した菅官房長官の見解とも齟齬をきたしていると考えるが、安倍内閣の見解如何。

七 前記一から六を踏まえて、今後も記者に対して当該発声あるいは当該対応を安倍内閣として継続していくのか否か、明確に示されたい。

八 これまでに内閣官房内閣広報室総理大臣官邸報道室長(以下「報道室長」という。)から、内閣記者会の加盟社に対して、東京新聞の「特定の記者」に関わる「申し入れ」を行った事実は存在するか。存在する場合、その申し入れの具体的内容及び当該申し入れを行った理由を詳らかに明示されたい。

九 これまでに内閣官房内閣広報官(以下「広報官」という。)から、特定の新聞社に対して、当該新聞社の「特定の記者」の質問の仕方に関して指導を徹底するよう「申し入れ」を行った事実は存在するか。存在する場合、その申し入れの回数、具体的内容及び当該申し入れを行った理由を詳らかに明示されたい。

十 前記八及び九に関して、「特定の記者」の質問の仕方について、報道室長あるいは広報官から、内閣記者会の加盟社あるいは特定の新聞社に対して「申し入れ」を行うことは、安倍内閣による報道機関への不当な介入であるだけでなく、記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害する行為と言わざるを得ない。このような「申し入れ」は如何なる理由があろうと一切行われるべきではないと考えるが、このような「申し入れ」を、報道機関に対して政府として行うことは問題ないとの認識を持っているのか、また今後、このような「申し入れ」を報道機関に対して行う予定はあるのか、安倍内閣としての見解を、その理由とともに明確に示されたい。

十一 前記八あるいは九の「特定の記者」に対して、記者会見において当該人物により当該発声及び当該対応が行われた事実は存在するか。存在する場合、当該人物によるこれらの行為と前記八あるいは九の「申し入れ」とは関係があるのか、明確に示されたい。

十二 当該人物による当該発声及び当該対応は、当該人物個人の判断によって行われているのか、菅官房長官の指示によって行われているのか、あるいは広報官の指示によって行われているのか、何れであるのかを明確に示されたい。加えて、記者会見において菅官房長官は、当該人物に向けて目配せあるいは手振り等の合図を送っているが、当該発声及び当該対応は、菅官房長官のこのような合図に基づいて行われているのか、明確に回答されたい。

  右質問する。