質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

中央社会保険医療協議会で議論された費用対効果評価に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十一年二月五日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   中央社会保険医療協議会で議論された費用対効果評価に関する質問主意書

一 平成三十年十二月五日の中央社会保険医療協議会の合同部会資料「費用対効果評価に関する検討について」(以下「中医協資料」という。)によれば、新たなICERの閾値を七百五十万円とすることが提案されているが、これに決定するに至った明確な理由を明らかにせよ。

二 中医協資料には、外国の値を参考にしたかのような記述が散見されるが、そもそも諸外国とは、通貨、物価、医療水準などの差異があると理解するところである。また、参考とした国の多くが税方式を導入している国であり、我が国とは医療制度が根本的に異なるものである。また、国が薬価を決定する公定薬価制度をもたず、医薬品製造販売業者が自由に販売価格を決められる前提の国が多いという印象も受ける。我が国は、社会保険方式を採用し、公定薬価制度を取る国家である。となれば、外国の値を単純に参考とすることには無理があると思われる。政府にあっては、こうした相違点を事前に検討した上で、中医協資料にあるICERの閾値を算出しているのか。また、仮に諸外国との相違点を検討したのであれば、その内容について詳細に明らかにされたい。なお、そのようなことは万が一にもないと考えるところであるが、よしんばこうした医療制度及び薬価制度の違いなどに留意してICERの閾値を検討していないとなれば、その理由はいかなるものか丁寧に説明せんことを求む。

三 薬価算定における費用対効果評価の導入については、厚生労働省内にあって検討を重ねてきたところと理解するが、議論の過程において導入にあたっての具体的な問題点などは考察されたのか、その事実関係について明らかにされたい。また、その検討内容につき分かりやすく解説されたい。

四 薬価算定における費用対効果評価の導入については、我が国の研究者においても懐疑的な意見を持つ者が多いと聞くが、政府はそうした意見を把握しているのか。把握しているとすれば、その具体的な内容について明らかにされたい。あまつさえ懐疑的な意見があるにもかかわらず、政府がこのように費用対効果評価の導入を早急に進める意図を明確にされたい。

五 政府は、薬価調整にはICER以外に評価尺度がないという主張をしているが、経営工学的には他にも多くの手法があると理解するところである。たとえば、ドイツ連邦共和国にあっては、効率的フロンティア法などの方法も取られてきた。こうした他の手法があるにもかかわらずICERにこだわる理由は何か、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。