質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六八号

内閣参質一九七第六八号
  平成三十年十二月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出近時の投票環境をめぐる諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出近時の投票環境をめぐる諸課題に関する質問に対する答弁書

一について

 投票所については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三十九条の規定により、市町村の選挙管理委員会が地域の実情を踏まえ設置するものであるところ、過疎化による選挙人数の減少や市町村合併等を契機とした投票区の見直し等により投票所数は減少してきているものと承知している。
 総務省としては、投票の権利は民主主義の基礎であり、選挙人の投票の機会を広く確保することが極めて重要であると考えており、国政選挙や統一地方選挙の都度、投票所の設置について積極的な対応を行うよう市町村の選挙管理委員会に助言してきているところである。

二について

 共通投票所については、平成二十八年に執行された参議院議員通常選挙において四団体七箇所に、また、平成二十九年に執行された衆議院議員総選挙においても四団体七箇所に設置されたところである。
 共通投票所の設置に当たっては、二重投票を防止する観点から、全ての投票所及び共通投票所の間で投票済み情報を共有するオンラインシステムの整備が必要となり、その費用負担等の課題があると承知している。
 総務省としては、選挙の公正を確保しつつ有権者が投票しやすい環境を整備するためICTの活用等を検討することを目的に開催した「投票環境の向上方策等に関する研究会」において、本年八月に、オンラインシステムの整備に当たっては無線の専用回線を活用することにより、セキュリティを確保しつつより安価な対応が可能であるとの報告がなされたことも踏まえ、今後、市町村の選挙管理委員会に対して、共通投票所について積極的に検討するよう助言してまいりたい。

三について

 お尋ねの「インターネット投票の導入」については、二についてで述べた「投票環境の向上方策等に関する研究会」の報告書において、在外選挙におけるインターネット投票に関しては、一定の対応方策を講ずることにより、実現に向けた技術面・運用面の大きな課題は解決できること等が示された。
 一方で、国内におけるインターネット投票に関しては、投票立会人不在の投票を特段の要件なしに広く認めることについて選挙の公正確保等との関係から議論が必要であるほか、大規模なシステムを構築することに伴う安定稼働対策や大規模なシステムの構築及び維持に要するコスト等の論点も克服することが必要であることが示されている。
 そのため、政府としては、まずは、在外選挙におけるインターネット投票の実現に向けて着実に検討を進めてまいりたい。

四について

 投票所閉鎖時刻の繰上げについては、公職選挙法第四十条第一項ただし書の規定により、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り、市町村の選挙管理委員会が行うことができることとされており、総務省においては、これまでも当該規定の趣旨を踏まえ、十分な検討を行い適切に対応するよう、市町村の選挙管理委員会に助言してきているところである。
 今後とも様々な機会を活用し、市町村の選挙管理委員会に十分な助言を行ってまいりたい。

五について

 現行の選挙制度においては、選挙期日の公示又は告示の日に立候補の届出を認め、候補者が選挙運動を行って選挙人に投票を行うに当たっての情報を提供し、最後に選挙人が投票を行うこととされており、投票日当日に投票を行うことが原則とされている。この原則に対する例外として、投票日当日に公職選挙法第四十八条の二第一項各号に掲げる事由に該当すると見込まれる選挙人に対して期日前投票が認められているものである。
 このような制度の下で、同項各号に掲げる事由について市町村の選挙管理委員会が確認を行わないこととすることは適当ではなく、同項各号に掲げる事由のうち投票日当日に該当すると見込まれる事由の申立て及び宣誓書の提出という選挙人にとって簡便な方式により当該確認を行うことは、合理性を有するものと考えている。