質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六一号

内閣参質一九七第六一号
  平成三十年十二月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出認知症問題の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出認知症問題の改善に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「認知症問題」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、認知症については、誰もが関わる可能性のある身近な病気であり、認知症の方ができる限り住み慣れた地域で暮らすことができる取組を進めていく必要があると認識しており、我が国の認知症国家戦略として策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(平成二十九年七月五日改訂)(以下「新オレンジプラン」という。)に沿って、介護者支援、地域での見守り体制の整備等、総合的な施策を政府一丸となって推進してまいりたい。

二について

 御指摘の「認知症の行方不明者」に対する地方自治体への支援については、厚生労働省としては、地域支援事業(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十五条の四十五第一項から第三項までに規定する地域支援事業をいう。)における取組の一つである「認知症高齢者見守り事業」として、市町村が認知症に関する広報・啓発活動、徘徊高齢者を早期発見できる仕組みの構築・運用、認知症高齢者に関する知識のあるボランティア等による見守りのための訪問等を行う場合、その費用の一部を当該市町村に対して交付しているところである。また、平成二十九年度老人保健健康増進等事業「認知症の人の行方不明や事故等の未然防止のための見守り体制構築に関する調査研究事業」において作成された「見守り・SOS体制づくり基本パッケージ・ガイド」を各都道府県に周知するなど、地方自治体の取組の支援を行っているところである。

三について

 お尋ねの「政府として・・・協力を求める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、若年性認知症者(六十五歳前に発症した認知症の患者であって、六十五歳未満のものをいう。以下同じ。)が働き続けやすい職場環境を整備するため、若年性認知症についての事業主による理解を促していくことが必要であると認識しており、事業主に対し、その雇用する若年性認知症者が精神障害者保健福祉手帳を取得した場合には、障害者雇用率制度の対象となるとともに、障害者雇用納付金制度に基づく助成金の支給の対象となること等を周知しているところである。

四について

 お尋ねの「認知症に関する医療技術の開発」については、新オレンジプランにおいて、「健康・医療戦略」(平成二十六年七月二十二日閣議決定)及び「医療分野研究開発推進計画」(平成二十六年七月二十二日健康・医療戦略推進本部決定)を踏まえ、認知症を来す疾患それぞれの病態解明や行動・心理症状等を起こすメカニズムの解明を通じて、予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発等を推進することとしており、引き続き、こうした取組を行ってまいりたい。

五について

 お尋ねの「医師による抗認知症薬の処方に当たりインフォームドコンセントが十分になされているのか」については把握していないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、医師等は医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めることが重要であると考えており、引き続き、その趣旨について周知啓発を図ってまいりたい。
 また、御指摘の「抗認知症薬」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、医薬品の添付文書にあっては過量投与時の処置方法等を必要に応じて記載すること、また、「患者向医薬品ガイド」(「「患者向医薬品ガイドの作成要領」について」(平成十七年六月三十日付け薬食発第〇六三〇〇〇一号厚生労働省医薬食品局長通知)においてその作成が求められている「患者向医薬品ガイド」をいう。)にあっては使用を忘れた場合の対応及び過量使用時に関する事項について原則として記載することを、医薬品の製造販売業者に対して求めており、このように作成された添付文書等に基づき医療関係者及び患者に対して必要な注意喚起がなされているところである。同省としては、医療関係者と協力しながら、医薬品の適正使用に資する情報が提供されるよう適切な注意喚起を継続して行ってまいりたい。