質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質一九七第二六号
  平成三十年十一月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員糸数慶子君提出安倍首相の所信表明演説に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出安倍首相の所信表明演説に関する質問に対する答弁書

一について

 抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている。日米安保体制の下、在日米軍においては、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられており、このような在日米軍のプレゼンスは、米国が有する核戦力や通常戦力とあいまって、抑止力として機能しているものと考えている。また、地理的な優位性を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性を有し、幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊や、制空や警戒監視等の重要な航空作戦に当たる米空軍といった米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると認識している。
 なお、想定される抑止力の対象は、必ずしも特定の国に限られるものではない。

二について

 政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するためには、同飛行場の辺野古への移設を着実に進めることが必要であると考えている。

三について

 平成三十年十一月六日に、菅内閣官房長官と玉城沖縄県知事が普天間飛行場の辺野古への移設について会談を行い、政府と沖縄県との間で移設に対する考え方に相違があることが改めて確認されたところである。その上で、同知事の要請を踏まえて、政府は同飛行場の辺野古への移設、同県は国地方係争処理委員会への審査の申出の手続を進めながら、約一か月間、杉田内閣官房副長官と謝花沖縄県副知事との間で話合いを行うこととしたところであり、具体的なことは、両者で協議しながら進めている。
 また、政府と同県との間には政府・沖縄県協議会等の協議の枠組みがあり、政府としては、これらにおける話合いを通じて、同飛行場の危険除去と辺野古への移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明し、同県側の御理解と御協力を得られるよう、粘り強く取り組んでいく考えである。

四について

 戦後七十年以上を経て、なお在日米軍の施設及び区域が沖縄県内に集中している現状は沖縄の大きな負担となっているものであり、このような現状は是認できるものではなく、その負担の軽減を図ることは政府の大きな責任である。
 政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、これは政府と沖縄の皆様の共通認識であると考えている。
 このため、三についてでお答えしたとおり、同飛行場の危険除去と辺野古への移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明し、同県側の御理解と御協力を得られるよう、粘り強く取り組んでいく考えである。
 いずれにせよ、政府としては、今後とも沖縄の負担軽減のためにできることは全て行うとの方針の下、取り組んでいく考えである。

五について

 お尋ねは、地方公共団体における独自の条例に関わる事柄であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。