質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一九七第二一号
  平成三十年十一月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出スポーツ庁通知「三〇ス庁第二三六号」における大学が授業・試験を行わないことを誘引する内容につき「学問の自由」を尊ぶ日本国憲法の精神との整合性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出スポーツ庁通知「三〇ス庁第二三六号」における大学が授業・試験を行わないことを誘引する内容につき「学問の自由」を尊ぶ日本国憲法の精神との整合性に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)」(平成三十年七月二十六日付け三十ス庁第二百三十六号スポーツ庁次長及び文部科学省高等教育局長連名通知。以下「本件通知」という。)の趣旨は、平成二十八年四月二十一日に発出した「学生のオリンピック・パラリンピック競技大会及び同大会に係るボランティア活動等への参加に当たっての教育上の配慮について(通知)」(平成二十八年四月二十一日付け二十八ス庁第五十九号スポーツ庁次長及び文部科学省高等教育局長連名通知。以下「平成二十八年通知」という。)を前提に、平成三十二年に限り海の日等を移動させた平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十五号)の趣旨を踏まえ、各大学等において平成三十二年度のいわゆる学事暦の設定に当たって適切に対応するよう要請するとともに、学生がオリンピック・パラリンピック競技大会等やボランティア活動へ参加する意義を踏まえて各大学等が学事暦の変更等を行う場合の留意事項を改めて周知するものであり、各大学等に対して、学生のボランティア活動への参加を促すために学事暦の変更等を行うよう求めるものではなく、学事暦の変更等を行うか否かについては、あくまで各大学等において判断されるものと考えている。
 また、お尋ねの「前記文章」は本件通知の前提となる平成二十八年通知の内容の一部を示すため、お尋ねの「前記修飾文」は留意事項を示すに当たって学事暦の変更等を行う理由を例示する必要があるため、それぞれ本件通知に記載したところであり、御指摘の「ボランティア活動を目的とした学事暦の変更等をあからさまに誘引するような文章」には当たらないと考えている。

三について

 お尋ねの「ボランティア活動斡旋」及び「不利な扱い」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本件通知の趣旨は一及び二についてで述べたとおりであり、本件通知を受けての各大学の対応いかんにより、国が当該大学に交付する補助金等の取扱いを変更することは想定していない。

四について

 本件通知は、一及び二についてで述べたとおり、各大学等が学事暦の変更等を行う場合の留意事項を改めて周知するものであり、学事暦の変更等を行うか否かについては、あくまで各大学等において判断されるものであることから、「「学問の自由」への配慮が欠如している」との御指摘は当たらないと考えている。

五について

 御指摘の「こうした特例措置」及び「優位に扱う」の具体的に意味するところが明らかではなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの「学問追求」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本件通知における「責任感などの高い倫理性とともに、忍耐力、決断力、適応力、行動力、協調性など」の記載については、学生がオリンピック・パラリンピック競技大会等に参加することにより涵養されると考えられる能力を例示したものであり、もとより大学における教育研究を通じて学生のこれらの能力が涵養されることを否定するものではない。