質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六八号

近時の投票環境をめぐる諸課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   近時の投票環境をめぐる諸課題に関する質問主意書

 投票率が低下傾向にある中、有権者が投票しやすい環境を一層整備し、投票率の向上を図っていくことは、引き続き重要な課題である。以下、有権者に有効な投票機会を提供できているかという点に関し、具体的に質問する。

一 昨年の衆議院議員総選挙で全国に設置された投票所は、二〇一四年の衆議院議員総選挙の際に比べ八百七十六カ所減り、四万七千七百四十一カ所に減少した。衆議院議員総選挙における投票所数は二〇〇〇年をピークに毎回減少が続いている。
 選挙の実施にかかる費用の抑制や投票立会人の確保が難しいことから、投票所の減少は今後も続くと予測するが、投票所の減少が続く状況に対する政府の認識を示されたい。

二 二〇一六年六月に施行された改正公職選挙法により、投票日に駅や商業施設など利便性の高い場所で投票できる「共通投票所」を自治体が設置できるようになった。しかしながら、同年七月に実施された参議院議員通常選挙で共通投票所を設置した自治体は、北海道函館市、青森県平川市、長野県高森町、熊本県南阿蘇村の四市町村にとどまった。一人が二票を投じる「二重投票」を防ぐシステムの構築が負担になり、導入を思いとどまる自治体が多かったとのことであるが、共通投票所の普及が進まない状況に対する政府の認識を示されたい。

三 少子高齢化や引き続く都心への人口集中を前提とすると、前記一や前記二の状況を根本的に改善するためにも、インターネット投票の導入を今まで以上に積極的に検討すべきと考えるが、政府の認識を伺う。

四 投票所の閉鎖時刻を繰り上げる投票所が続出している。閉鎖時刻を繰り上げた投票所は、二〇一六年の参議院議員通常選挙においては三十四%、昨年の衆議院議員総選挙においては三十五%にもなる。
 公職選挙法で「投票所は、午前七時に開き、午後八時に閉じる」と定められているが、「特別な事情」がある場合は市区町村選挙管理委員会の判断で変更できる。これを問題視した総務省は「(繰り上げは)特別の事情のある場合に限られている」と念押しする通知を出したが、ほぼ効果はなかった。投票所の閉鎖時刻の安易な繰り上げは、有権者の政治参加の機会を奪うため望ましくないと考えるが、政府はどのように対応する方針か。

五 二〇〇三年に導入された期日前投票の利用者は徐々に増え、昨年の衆議院議員総選挙ではついに二千万人台になっている。
 ただ、期日前投票の利用には、宣誓書の提出を必要とする。投票日当日に投票所へ行けない理由を記載するものであるが、この理由の提示は不要ではないか。投票することは国民主権の実践という意味で望ましいことであり、投票日以外に投票する理由を詮索する必要はない。その上、行政手続の簡易化という要請にも添うと考えるが、政府の見解を伺う。

  右質問する。