質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六四号

低所得者層の住宅保障に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   低所得者層の住宅保障に関する質問主意書

 住宅に関して、日本では持ち家支援が伝統的に重視されてきたが、近時の貧富の格差の拡大に伴い、低所得の若者や高齢単身者が、独立して住まいを確保することが困難となっている傾向がある。これら低所得者層の住宅状況を改善することは、現在の大きな課題である。
 低所得者層に対する住宅保障政策は、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)に基づく公営住宅の供給がほぼ唯一の手段となってきた。国土交通省では現在でも公営住宅を住宅セーフティネットの中核として位置付けている。
 しかし公営住宅は、二〇一三年で全住宅の三・九%、機構住宅と公社住宅を合わせても全住宅の五・六%しかない。欧米諸国と比較しても、低所得者用住宅の供給規模は極めて小さいと評されている。

一 公営住宅の高い応募倍率も踏まえ、新たな住宅セーフティネット住宅や特定優良賃貸住宅も合わせた重層的な公的住宅の供給数全体が、日本の住宅セーフティネットとして量的に適正かを再検討すべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

二 欧米諸国では、住宅に関する社会政策として、社会保障としての住宅手当(家賃補助等)が整備されている。一方、日本においては、住宅手当に当たるものが非常に手薄であり、公営住宅の補完としては、全く足りていない。
 住まいは生活の土台であり、弱い立場の者も含め、安全に暮らす住宅を確保するために、日本においても、より本格的な住宅手当の必要性を検討すべきではないか、政府の見解を明らかにされたい。

三 生活保護受給者における住宅扶助の代理納付制度とは、「生活保護費の受給者が住宅に関わる扶助費を、賃貸人である家主や管理受託会社に対して、生活保護法第三十七条の二に定められた給付費用を遅滞なく納付されるように促す制度」である。
 住宅扶助費等の代理納付制度は、家賃の滞納や退去等のトラブル減少、ケースワーカーの負担の軽減、生活保護受給者の入居の円滑化等の多くのメリットが指摘され、生活保護受給世帯の安定的な住まいを確保するのに役立っている。
 そこで、家賃だけではなく、住居契約時の初期費用等についても代理納付の利用が広まるよう推進すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。