質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六〇号

障害者雇用数水増し問題の再発防止策や今後の採用方針などをまとめた「障害者雇用に関する基本方針」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   障害者雇用数水増し問題の再発防止策や今後の採用方針などをまとめた「障害者雇用に関する基本方針」に関する質問主意書

 公的機関で障害者雇用数が水増しされた問題で、再発防止策や今後の採用方針などをまとめた「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」が本年十月二十三日の関係閣僚会議で正式決定された。

一 水増しの発覚で下がった障害者雇用率を上げるため、政府は二〇一九年末までに、中央省庁等で合計約四千人の障害者を採用する方針である。一方、本年四月から法定雇用率が引き上げられたため、民間でも障害を持つ人を活発に採用している。公的機関の障害者雇用率を上げるのは当然必要ではあるが、一般的に雇用しやすいとされてきた軽度の身体障害者を民間企業と奪い合う結果になりかねないとの懸念が指摘されている。
 当該懸念について、政府はどのような認識を持っているのか。また、当該懸念への対策についても併せて示されたい。

二 公的機関の障害者雇用率を上げても、やりがいを持って長く働き続けることができなければ、ただの数合わせになってしまいかねない。雇用された障害者が定着しやすい環境が、受入れ側である中央省庁等の公的な機関においてしっかり整備されているのか、政府の現状認識を示されたい。

三 前記二に関し、もし、受入れ側の機関の環境に未だ不十分な面があるという認識であるならば、障害者が働き続けることができる環境の整備にどのように取り組む方針であるか、説明されたい。

四 公的機関における障害者の水増し雇用に関連して、地方自治体においても、三千八百人余の不適切な障害者雇用数の算入があったとされている。この不適切な算入を除外すると、調査の時点において、法定雇用率を達成していない地方自治体数はどの程度で、法定雇用率達成に必要な人数はどのくらいなのか明らかにされたい。

五 法定雇用率が未達成である自治体に対し、政府として助言等の何らかのコミットを予定しているのか。また、地方自治体の障害者の法定雇用率の充足に対する対応は、現時点でどのような状況か明らかにされたい。

六 法定雇用率を満たすための採用の一環として、人事院は障害者を対象とする国家公務員の統一選考試験を来年二月に初めて実施するとしている。その一次試験である筆記試験について、知的障害者とその他の障害者とで、同じ内容の試験問題となっているが、これは知的障害者に寄り添っている措置とは言えないのではないか。知的障害者の特性に寄り添った採用職種や採用枠等の検討も行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。