質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五二号

平成三十一年十月に予定される消費税率引き上げに伴い導入が予定されているポイント還元制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   平成三十一年十月に予定される消費税率引き上げに伴い導入が予定されているポイント還元制度に関する質問主意書

 政府は、平成三十一年十月に予定される消費税率の十パーセントへの引き上げに伴い、キャッシュレス決済を利用する場合のポイント還元制度の導入(以下「ポイント還元策」という。)を検討していると聞く。ポイント還元策につき小規模事業者及び個人事業主(以下「小規模事業者等」という。)に対する配慮という観点から、政府の認識を確認すべく、以下質問する。

一 これまでの政府の説明等を理解するに、ポイント還元については中小規模の店舗で購入した商品を対象としていると流布されるところであるが、小規模事業者等が経営する店舗等にあっては、そもそもキャッシュレス決済用の機材が設置されていないところも多いと思われる。消費者のポイント還元への要望に応えるため、小規模事業者等がキャッシュレス決済を実施するために導入する機材の購入費用等について、政府は公費補助等の施策を検討しているのか明らかにされたい。

二 キャッシュレス決済の典型であるクレジットカード決済などの場合には、その利用手数料を小規模事業者等が負担せねばならず、小規模事業者等が事実上の値引きを強いられることになるのは明らかである。このような施策は小規模事業者等の利益構造をより脆弱にするのではないかと危惧するところである。小規模事業者等がキャッシュレス決済を受け入れることによって生じる手数料負担などについて政府はどのように考えているのか。また、この負担を軽減するための施策について政府は何らかの検討を行っているのか明らかにされたい。

三 キャッシュレス決済の利用推進は、クレジットカード会社などの大手企業が、決済時に発生する手数料によって潤うだけの施策である。この手数料は、本来ならば販売店の利益になるべき、販売の現場で個々の販売者が努力して獲得した利益の中からクレジットカード会社がかすめ取る種類のものであり、事業規模が小さければ小さいほど、手数料の負担は大きいものになると想像される。政府は、何故に、小規模事業者等が懸命に日夜努力して獲得した利益を大企業に還元するような施策を実施するのか、明確な理由を明らかにされたい。

四 消費税率引き上げに伴う経済政策について、何故に、現金決済も含めた総合的な需要平準化政策を検討せず、キャッシュレス決済の利用促進のみについて検討を進めるのか明らかにされたい。

五 安倍総理は、本年十一月二十六日の衆議院予算委員会において、ポイント還元策について、期間を九か月に限定する旨述べた。先述したように、政府の政策誘導によって国民がポイント還元への関心を高めるとなれば、小規模事業者等は、個々の経営状況とは別にして、この九か月のポイント還元策のためにキャッシュレス決済に対応した機材を導入することを強いられる状況に陥ることも予想される。これは、消費税引き上げを利用した「ポイント還元」と銘打った「キャッシュレス決済への政策誘導策」であり、キャッシュレス決済を推進する官庁が補助金等を準備するのが筋であると考える。現状では、補助金などの支援策について聞こえてくることがないことを鑑みるに、九か月という短期間のためのみにキャッシュレス機材を導入した小規模事業者等は、その機材導入費用を回収できると政府は考えているのか。ポイント還元策は、キャッシュレス決済のための機材を製造販売する企業が潤うだけで、物販の現場にあっては、手数料負担、機器の初期投資費用、リース料などの費用がかさばるばかりである。特に小規模事業者等については、その経営体力が疲弊するだけではないかと危惧するところであるが、街の商店街を活性化させるという意味を踏まえて、ポイント還元策の導入を検討している理由を明らかにされたい。

六 ポイント還元策によって、大手の物販会社やネット通販会社が潤うことを想定しているのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。