質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四七号

日EU・EPAにおける継続協議事項や見直し規定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日EU・EPAにおける継続協議事項や見直し規定に関する質問主意書

 EUは我が国にとって、民主主義、法の支配、基本的人権といった基本的価値を共有する重要なグローバルパートナーである。加えて、EUは総人口約五億人、世界のGDPの約二十二%、我が国の輸出入総額の約十二%を占める我が国にとっての主要貿易・投資相手である。従って、日EU経済連携協定(日EU・EPA。以下「本協定」という。)は、日EU関係に重要な影響を与えるものとなる。
 本協定について、継続協議事項や見直し規定等の今後内容が確定されうる事項に関し、以下の通り質問する。

一 本協定で我が国は農林水産品について、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)と同水準の約八十二パーセントの品目の関税撤廃を約束し、個別の品目では、ソフト系チーズ等の一部乳製品、パスタ、ワイン、林産物等、多数の品目でTPPを上回る自由化を約束した。こうした国益を大きく損ない得る自由化約束に加えて、本協定には、譲許表(附属書二-A)に定める特定の農林水産品について、協定発効後五年目の見直し規定と、各締約国が第三国に本協定よりも有利な待遇を与えた場合における見直し規定が盛り込まれた。
 我が国は、重要品目である牛肉、豚肉、乳製品等を含む多数の品目を特定の農林水産品として譲許表に掲げているが、なぜ政府は、一層の農林水産市場の開放につながり得る見直し規定を本協定に盛り込んだのか。当該見直し規定では、この見直しは「市場アクセスの条件を改善する観点から行われる」旨規定されているが、TPP以上の農林水産市場の開放を認めるものになるのではないか。政府の見解を明確に述べられたい。

二 本協定には、産品に対する非関税措置の見直し規定も設けられている。EUは、環境や安全に関する各種措置等我が国の産品の非関税措置の撤廃を求めているが、この規定により、今後我が国の産品の正当な非関税措置が問題とされ、更なる撤廃・緩和を迫られる可能性はないか、政府の見解を明らかにされたい。

三 本協定の交渉において、投資保護規律及び投資紛争解決手続については継続協議となり、本協定に盛り込まれるに至っていない。
 なぜ政府は、企業活動の根幹となる投資ルールが不完全である状況にも関わらず、拙速に本協定に署名したのか。

四 前記三の投資保護規律及び投資紛争解決手続について、我が国とEUとの間でどのような意見の対立があったのか。実際に当該制度を活用することとなる企業は不安や懸念を募らせている。EUが導入を主張する常設の投資裁判所制度(ICS)に関する我が国の見解も含め、投資ルールに関する我が国の考え方について、政府は丁寧に説明されたい。

五 今後の協議において、政府は、投資ルールに関する規定についての議論をどのようにまとめていく方針なのか。交渉妥結の見通しも併せて、政府の方針を明確に説明されたい。

  右質問する。