質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三二号

ヒ素混入BCGワクチンに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月二十九日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   ヒ素混入BCGワクチンに関する質問主意書

 平成三十年八月九日、厚生労働省は、日本ビーシージー製造株式会社(以下「BCG社」という。)から、乾燥BCGワクチン(経皮用・一人用)の使用時に溶解するための溶剤(日本薬局方生理食塩液、〇・一五ml)のヒ素の測定を行ったところ、規格値(日本薬局方規格(純度試験、〇・一ppm以下))以上(最大〇・二六ppm)となった旨の報告(以下「当該報告」という。)を受けた。厚生労働省は、当該報告を受けてから約三ヶ月経過した同年十一月五日の平成三十年度第九回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、「乾燥BCGワクチン(経皮用・一人用)の添付溶剤(生理食塩液)の品質問題に対する対応について」(以下「調査会資料」という。)を配付し、当該報告を受けた事実を公表した。
 同月十四日、厚生労働省は、同調査会のとりまとめを踏まえて、「仮に、ヒ素の規格値を超える添付溶剤を用いてワクチン接種を行っても安全上差し支えないもの」との内容を含む事務連絡(「乾燥BCGワクチン(経皮用・一人用)の取扱いについて(留意事項)」)を発出した。その後、BCG社は同月二十一日、当該溶剤を用いたワクチン製剤(以下「当該ワクチン製剤」という。)を自主回収することを発表した(以下「本事案」という)。
 以上の経緯を踏まえて、当該ワクチン製剤に関する政府の認識ならびに本事案に対する政府の対応を確認すべく、以下質問する。

一 BCG社からの当該報告を第一報として受けた厚生労働省の部局はどこか、明確に示されたい。

二 前記一の部局が当該報告の第一報を受けた後、当該報告の内容は厚生労働省の如何なる部局へ、どのような順序で伝達されたのか、情報伝達の経緯を時系列に沿って、網羅的に明らかにされたい。

三 厚生労働省が当該報告を受けてから当該報告を受けた事実を公表するまでの間に、当該報告の内容は厚生労働大臣にも伝達されていたのか、明確に示されたい。

四 調査会資料によれば、ヒ素が規格値以上となった原因の究明についてはBCG社が行ったとされているが、今後、さらにBCG社以外の第三者による検証を行う予定はあるか。その予定がないのであれば、それは第三者による検証が不要であると考えているためであるのか。政府の認識を、その理由とともに明確に示されたい。

五 調査会資料によれば、「ヒ素が規格値以上となったのは、アンプルにヒ素が含有しており、生理食塩液をアンプルへ充填した後、熱をかける工程(熔封)により、ヒ素がアンプルから溶け出て、生理食塩液へ混入してしまったため」との事実(以下「当該事実」という。)が判明した後、BCG社は市場への出荷を控えているとのことであるが、当該事実が判明した日時及びBCG社が当該ワクチン製剤の出荷を停止した日時を明確に示されたい。加えて、厚生労働省が当該報告を受けた同年八月九日からBCG社が当該ワクチン製剤の出荷停止を決定した日までの間に、BCG社が出荷した当該ワクチン製剤の数量を、具体的数値をもって明確に示されたい。

六 厚生労働省として、当該ワクチン製剤をワクチン接種対象児に接種しても「安全上差し支えないもの」との最終判断(以下「当該判断」という。)に至った具体的日時を明確に示されたい。

七 前記六に関して、厚生労働省が当該報告を受けてから当該判断に至るまでの間に、当該ワクチン製剤が臨床現場で継続使用されていた事実を、厚生労働省は把握していたのか、明確に示されたい。

八 前記七に関して、当該ワクチン製剤の継続使用を厚生労働省として把握していたとする場合、当該ワクチン製剤にはヒ素の規格値を超える溶剤が添付されている事実を厚生労働省として把握していながら、同年十一月五日まで当該ワクチン製剤に関する情報を医療機関等に提供しなかった理由を明確に示されたい。加えて、当該判断に至る以前又は当該事実が判明する以前に、当該ワクチン製剤の使用を一時中止させるとの対策を行わなかった理由についても、明確に示されたい。

九 厚生労働省が当該報告を受けてから当該報告を受けた事実を公表するまでの間に、当該ワクチン製剤を実際に接種されたワクチン接種対象児は全国で何名いるのか、具体的数値をもって明確に示されたい。加えて、これらのワクチン接種対象児について、現在及び将来にわたって健康調査を行う予定はあるのか、明確に示されたい。

十 今後、医薬品等への有害物質の混入等の問題が発生した場合、本事案への対応と同様に、厚生労働省としてそれらの医薬品等を使用しても「安全上差し支えないもの」との最終判断に至るまでの間、政府は、それらの医薬品等に関する情報の提供を医療機関等に対して行わないとの理解でよいか。加えて、「安全上差し支えないもの」との最終判断に至るまでの間は、それらの医薬品等の使用を一時中止とする対策は行わないとの理解でよいか、政府の見解を明確に示されたい。

  右質問する。