質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三一号

天皇即位に伴う十連休が国民生活に及ぼす影響に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月二十七日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   天皇即位に伴う十連休が国民生活に及ぼす影響に関する質問主意書

 本年十一月十三日、安倍内閣は「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案」(以下「当該法案」という。)を閣議決定した。当該法案が国会にて可決・成立した場合、来年四月二十七日から五月六日までの十日間が、行政機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第九十一号)及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)において規定された「休日」となる(以下「当該期間」という。)。内閣府のホームページ掲載の「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案の概要」にも明記されているように、四月三十日、五月一日及び同月二日は、「他の法令における休日の規定が適用され、国、地方公共団体、銀行等が業務を行わない日」となり、当該期間は十連休となるが、国、地方公共団体、銀行等以外の他の法令における休日の規定が適用されない公共機関、民間企業・団体等(以下「休日の規定が適用されない機関等」という。)も、当該期間は「国、地方公共団体、銀行等」に倣って休日態勢をとることが予測され、国民生活に重大な影響をもたらす事態が懸念される。
 以上を踏まえ、天皇即位に伴う十連休が国民生活に及ぼす影響に関する安倍内閣の認識及び対応策を確認すべく、以下質問する。

一 国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)は、第一条において「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。」とし、第三条第一項で「「国民の祝日」は、休日とする。」としている。大辞林によると、「こぞつて(こぞって)」とは、「ある集団を構成する者全員が同じ行動をするさま。」を意味する言葉とされる。国民の祝日に関する法律は、同法第二条の「国民の祝日」においては、他に重大な支障を及ぼさない限りにおいて「全員が同じ行動をする」こと、すなわち「国民の祝日」を「休日とする」ことを全国民に求めているものとの理解でよいか、政府の認識を明確に示されたい。

二 前記一に関して、当該法案成立後、休日の規定が適用されない機関等が、国、地方公共団体、銀行等に倣って当該期間を休日とすることとした場合、政府は、当該休日の規定が適用されない機関等が業務を行わない、あるいは休日態勢をとることによって国民生活に重大な影響をもたらすか否かにかかわらず、国民の祝日に関する法律第一条の「こぞつて」との文言に基づき、当該期間を休日とすることを推奨するとの理解でよいか、明確に示されたい。

三 当該期間に銀行等の金融機関が通常業務を行わない場合、国民生活に如何なる影響を及ぼし、日本経済に如何なる損失を与えるのかについて、政府は検討を行い、金額等について具体的な試算を行ったか。かかる検討をしたのであれば、具体的な試算結果も併せ、その検討結果を明確に示されたい。

四 前記三に関して、政府としては、如何なる対応策を講じることによって、当該期間が国民生活に及ぼす影響及び日本経済に与える損失を最小限に抑えようとしているのか。政府が考える対応策を網羅的かつ具体的に示されたい。

五 当該法案が成立した場合、当該期間においては、厚生労働省が所管する、独立行政法人国立病院機構を始めとしたいわゆる国立病院及び地方自治体が運営している、いわゆる公立病院(以下「国公立病院」という。)は、十日間にわたって通常の診療業務を行わないこととなるが、これによって、国民生活に如何なる影響が及ぶと考えているか、政府の認識を明確に示されたい。

六 前記五に関して、国公立病院はもとより、国公立病院以外の多くの民間医療機関も国民の祝日を休診日あるいは休日態勢とし、通常の診療業務を行わないこととしているため、多くの民間医療機関においても、当該期間は十日間連続して通常の診療業務を行わないことが予測されるが、政府はこれによって、国民生活に如何なる影響が及ぶと考えているか。加えて、当該期間における医療需要と医療供給との均衡について、政府として如何なる認識を持っているか明らかにするとともに、当該認識に基づいて如何なる対応策を取るべきと考えているか、政府の見解を網羅的かつ具体的に示されたい。

七 国、地方公共団体、銀行等のみならず、休日の規定が適用されない機関等も、当該期間を業務を行わない、あるいは休日態勢とすることによって、その給与が時給あるいは日給により支給される非正規労働者等の就労時間あるいは就労日数が当該期間が十連休とならない場合に比して減り、その収入が減少する事態が生じることが想定される。この点について、政府として如何なる認識を持っているのか明らかにするとともに、如何なる対応策を講じるべきであると考えているか、政府の見解を明確に示されたい。なお、非正規労働者等の収入が減少するかどうかは、当該非正規労働者等を雇用している機関等の個別の判断によることから、政府としてはこの点に関する認識を述べる立場にないとの見解である場合には、その旨を明確に示されたい。

八 前記三から七において提示した具体的なケース以外に、当該法案が成立した場合に当該期間が十連休となることによって国民生活に影響を及ぼすことになり得るケースについて、政府として何らかの検討を行ったか。検討を行ったのであれば、各ケースへの対応策として政府が想定した内容も含め、その検討結果を網羅的かつ具体的に示されたい。

九 当該期間にその通常業務が行われないことによって、国民生活に著しい支障を及ぼすと考えられる公共機関あるいは民間企業・団体等の業種として政府が認識しているものを、全て列挙されたい。また、当該公共機関あるいは民間企業・団体等の業種に対して、当該期間が国民生活に及ぼす影響を最小限とすべく、政府から働きかけ等を行う可能性はあるか。可能性がある場合、如何なる働きかけ等を行うのか、明確に示されたい。

  右質問する。