質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三〇号

航空旅客事業における事業用操縦士、准定期運送用操縦士及び定期運送用操縦士に対する飲酒規制に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月二十二日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   航空旅客事業における事業用操縦士、准定期運送用操縦士及び定期運送用操縦士に対する飲酒規制に関する質問主意書

 二〇一八年十月二十八日、日本を拠点とする航空会社に勤務する副操縦士が、英国において乗務予定の航空機に乗務することができず、その搭乗できなかった理由が、当該副操縦士の血中アルコール濃度が同国の定める基準を大幅に超えたことによるという。我が国の航空法第七十条は、「航空機乗組員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない」と規定し、アルコール及び中枢神経に影響を及ぼしうる薬物等の影響については、航空機乗組員の自律性に任せるものとなっており、航空機乗組員のアルコール摂取を量的に規制するとともに、具体的な基準値を定めて厳に精神活性剤の使用を規制している英国、米国等とは大きく異なっている。また、我が国においても、バス、タクシー等の自動車を用いた旅客事業においては、その運行を担う乗務員に対し、厳しいアルコール基準値が定められている一方で、航空旅客事業に従事する事業用操縦士、准定期運送用操縦士及び定期運送用操縦士(以下「運航乗務員」という。)に対しては、具体的なアルコール基準値が定められていないのは理解に窮するところである。
 以下、政府の見解を明らかにされたい。

一 運航乗務員に対し、アルコール、中枢神経系に作用を及ぼすおそれのある薬物等の摂取について、我が国の法令が具体的な基準値を定めていないのは何故か、政府の見解如何。

二 職業的自律性の観点から、運航乗務員のプロフェッショナルとしての職業意識を尊重するというのであれば、運航乗務員等の当事者から、当事者が考える「航空機の正常な運航ができない」状況とはどのような状況かを聴取した上で、政府として、運航乗務員の自律性に任せることを良しとする判断をするというのも、一つの政策判断である。たとえば、医師、歯科医師等の専門職が医療業務に従事する際に飲酒検査を事前に課されていないのは、医師、歯科医師等の高い自律性を前提としたものと考えられる。運航乗務員にあっても、医師、歯科医師等と同様の高い自律性が期待できるというのであれば、かかる自律性の存否について政府が具体的に説明すべきものであると考えるが、政府の見解如何。

三 今回、英国において副操縦士が飲酒を理由に搭乗できなかった航空機の運航について、当該航空機は、英国から日本までの長距離を何名の運航乗務員にて運航をしたのか、明らかにされたい。

  右質問する。