質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

安倍首相の所信表明演説に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月十九日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安倍首相の所信表明演説に関する質問主意書

 本年十月二十四日に召集された第百九十七回国会の所信表明演説において安倍晋三首相は、過重な米軍基地等の負担にあえぐ沖縄県民に向け、「三月、一部返還が実現した沖縄の牧港補給地区では、県内最悪と言われる渋滞の解消に向けて、道路の拡幅を進めます。今後も、抑止力を維持しながら、沖縄の皆さんの心に寄り添い、安倍内閣は、基地負担の軽減に、一つ一つ、結果を出してまいります」と述べた(以下「安倍首相の所信表明演説」という。)。
 安倍首相の所信表明演説は、政府の取り組みを自画自賛し、「辺野古新基地建設反対」という沖縄県民の民意(以下「沖縄県民の民意」という。)を踏みにじる不誠実極まりないものである。沖縄県民の民意は、本年九月三十日に投開票が行われた沖縄県知事選挙において、辺野古新基地建設阻止を訴えた玉城デニー氏が、与党推薦候補に圧倒的な大差で勝利したことで改めて示されている。玉城知事は、十月四日の就任会見において辺野古新基地建設の阻止に向け全身全霊で取り組みたいと決意を述べ、また、同月十二日には、安倍首相と会談し、沖縄県民の民意を伝えるとともに、政府との対話を求めた。しかし、沖縄防衛局は同月十七日、沖縄県による辺野古新基地建設阻止のための公有水面埋立承認撤回処分に対し、国土交通大臣に行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申立を行った。このような状況下において、同月二十五日には、沖縄県選出の照屋寛徳、赤嶺政賢の両衆議院議員、私及び伊波洋一参議院議員が「1.沖縄県の民意を尊重して審査請求・執行停止申立を取り下げること。2.沖縄県との話し合いの場を設けること。3.辺野古新基地建設反対の沖縄県の民意、全国世論調査の結果を伝え、辺野古移設見直しに向け、米国と再交渉すること」を求める要請書を岩屋毅防衛大臣に手交した。
 以上を踏まえ、以下、質問する。

一 安倍首相の所信表明演説における「今後も、抑止力を維持しながら」との発言について、「抑止力」が「維持」されている状態とは、具体的にはどのような国を仮想敵と想定し、何を「抑止」している状態のことを表しているのか。在沖縄米軍の陸海空軍及び海兵隊の戦力、施設規模等との関係とあわせ、示されたい。

二 前記一に関し、安倍首相の述べた「抑止力」の「維持」という観点から、辺野古新基地はどのような役割を担うことになると政府は考えているか、具体的に示されたい。

三 辺野古新基地建設問題を含む沖縄の米軍基地問題等について玉城知事は、政府との「対話」を強く求めている。政府は、玉城知事の求める「対話」に応じるつもりはあるか。応じるつもりがある場合、政府はどのような立場から、また、どのような姿勢で「対話」に臨むことを考えているのか、明らかにされたい。

四 安倍首相の所信表明演説における「沖縄の皆さんの心に寄り添い」との文言は、安倍首相が沖縄県民の民意を無視し、愚弄する際に用いる常套句である。「沖縄の皆さんの心」とは、沖縄県民の民意である「辺野古新基地建設反対」を意味するものと捉えるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 本年十月二十六日に沖縄県議会で可決され、同月三十一日に公布された「辺野古新基地建設のための賛否を問う県民投票条例」により、当該県民投票が来春までに行われる予定である。本条例が可決し、公布されたことに対する政府の見解を示されたい。また、当該県民投票が行われた場合に、政府として投票結果をどのように受け止めるつもりでいるのか、明らかにされたい。

  右質問する。