質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二三号

北海道における「維持困難」路線に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月十三日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   北海道における「維持困難」路線に関する質問主意書

 私が本年二月に提出した「鉄道事業法における鉄道事業の許可と列車運行義務及び被災した鉄道の復旧に関する質問主意書」(第百九十六回国会質問第二八号)に対する答弁(内閣参質一九六第二八号。以下「答弁書」という。)に疑義があるため、以下質問する。

一 JR北海道が、高波災害により一部区間が被災した日高本線鵡川・様似間について、復旧に多額の費用がかかることを理由に地元に廃線を提案し、被災していない区間も含めて列車を運休したままとしていることに関し、政府の見解を問うた私の質問主意書に対し、政府は答弁書の「一について」において、「北海道旅客鉄道株式会社より沿線自治体に対して、復旧の断念とバス等への転換が提案されたことを受けて、これまで、沿線自治体において、バス等への転換の可能性も含めた検討が進められてきているものと承知している。引き続き、地域における検討及び協議を進めていく必要があるものと考えている」と回答している。また、答弁書の「三について」では、台風災害により一部区間が不通となっているJR北海道の根室本線富良野・新得間についても「将来にわたって持続可能な交通体系を構築するため、地域における検討及び協議を進めていく必要があるものと考えている」と回答している。
 日高本線及び根室本線は、いずれも旧国鉄の線路をJR北海道が継承したものであり、またJR北海道は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が全株式を保有していることから、当該両路線を含むJR北海道の資産は事実上の国有財産であるとともに、国民全員が利害関係者であると考えられる。
 政府は、日高本線及び根室本線について、その存廃を含めた今後のあり方に関し、あくまでJR北海道と地元との協議に委ねる姿勢を崩していないが、仮に根室本線の一部区間がJR北海道と地元との協議によって廃線となった後に、根室本線と接続している石勝線もその影響を受けて不通になるなどした場合、道東から首都圏への食料品や生活物資などの輸送が困難となることが考えられる。それに伴い、国民経済に重大な打撃となるような事態が発生したとしても、政府はJR北海道と地元との協議による合意の結果としてこれを容認するのか。

二 前記の質問主意書提出以降、平成三十年七月豪雨により重要な輸送ルートである山陽本線が長期にわたり途絶する事態が新たに発生したが、仮にこの区間がJR西日本と山陽本線の沿線自治体との協議だけで一方的に廃止になり、重要貨物の輸送ができない事態となった場合にも、政府はJR西日本と地元との協議による合意の結果としてこれを容認するのか。

三 政府は答弁書の「三について」において「災害時における生活物資の輸送ルートの確保については、鉄道による輸送だけでなく、自動車や船舶による輸送を含め、総合的に検討すべきものと考えている」と回答しているが、トラック業界での人手不足が深刻となる中で、鉄道会社が廃線を検討している区間において、鉄道輸送の代替手段としてトラック輸送を機能させるに足りる人数のトラック運転手を確保できる見通しはあるのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 北海道の鉄道路線の存廃問題の動向については経済界も注視している。とりわけ北海道商工会議所連合会が平成二十九年五月に公表した「北海道の鉄路維持に関する提言・要望書」において、「JR北海道が、経営赤字・復旧困難を理由に見直しや廃止の判断を、地域・利用者の意向を汲み取らないまま一方的に進めていくことは、将来の北海道に禍根を残すことになる」と危惧を示していることに対する政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。