質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

質問主意書に対する内閣の答弁の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十月二十四日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   質問主意書に対する内閣の答弁の在り方に関する質問主意書

 近年、法律の実施に必要な事項を政省令へ包括的に委任する規定(以下「包括委任規定」という。)を含む閣法が増加しているように見受けられることに対し、このような閣法は、法律による行政の原理の意義を埋没させるおそれがあるとともに、立法府の空洞化を招来しかねないとの問題意識から私は、これに関する質問主意書を第百九十六回国会において四回にわたり提出した(第百九十六回国会質問第一〇六号、第一一九号、第一三六号、第一八〇号)。しかし内閣は、過去の国会における包括委任規定を有する閣法の件数を尋ねる質問事項に対して、「調査に膨大な時間を要するため、お答えすることは困難である。」との定型の答弁を繰り返し、不誠実極まりない態度に終始した。このような内閣の姿勢は、国会議員の質問権を軽視するものであり、断じて許されない。そこで、以下、質問主意書に対する内閣の答弁の在り方について質問する。

一 第百九十六回国会質問第一一九号、第一三六号及び第一八〇号を通じて、私は、包括委任規定の定義を変えていない。したがって、内閣は質問第一八〇号の質問事項の趣旨等を既に十分了知しているはずであるため、本年七月二十四日の質問第一八〇号の答弁延期通知書にあるように、改めて「質問事項について検討する」必要性は乏しいと考えられるが、具体的に何をどう検討したのか明らかにされたい。

二 質問第一一九号及び第一三六号に対する答弁において、内閣は、包括委任規定を有する閣法の件数に関する調査には時間を要すると答弁してきた。それを踏まえ私は、質問第一八〇号において、「「調査に膨大な時間を要する」のであれば、それ相応の期間答弁を延期した上で、確実に答弁されたい。」と付言した。内閣が質問第一八〇号に誠実に対応するのであれば、当該件数を調査するための十分な日時を確保した期限を設けて答弁延期するのが適切な姿勢である。
 本年七月二十日に転送された質問第一八〇号に対し内閣は同月二十七日まで答弁を延期したが、これは、国会法第七十五条第二項前段に定める期間を一日延ばしただけである。その上で同月二十七日、「調査に膨大な時間を要するため、お答えすることは困難である。」との文言のみで質問を切り捨てる答弁書を閣議決定した。
 このような対応からは、質問主意書に誠実に対応しようとする内閣の意思は微塵も感じられず、「お答えすることは困難である。」と回答することを前提に答弁を延期したものであると考えざるを得ない。質問第一八〇号に関し、どういった答弁上の課題等があるため「調査に膨大な時間を要する」と判断したのかも含め、このような対応になった理由を具体的に明らかにされたい。

三 私は、質問主意書において質問された事項に対して内閣は誠実に答弁しなければならないと考えるが、内閣も同様の認識であるか明らかにされたい。同様の認識である場合、そのように認識する法令上の根拠があれば併せて示されたい。また、答弁に当たり誠実さをどのように担保しているのか、実例を交えて明らかにされたい。

四 内閣は、質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁をすることができないときには、国会法第七十五条第二項後段に基づき答弁を延期することができる。これに関し、延期する日数の限度について規定する法規先例又は衆議院若しくは参議院の議院運営委員会理事会決定が存在するか、政府の把握するところを明らかにされたい。存在する場合、当該法規先例の内容又は当該理事会決定の標題、日付及び内容を明らかにされたい。

五 前記四に関し、当該法規先例又は理事会決定の有無にかかわらず、答弁を延期する日数の限度を内閣として設定しているか明らかにされたい。設定している場合、その日数を具体的に示されたい。また、設定することを定めた文書があれば、その文書の標題、日付及び内容を明らかにされたい。

六 国会法第七十五条第二項後段が日数の限度を設けることなく答弁を延期することを内閣に認める規定となっているのは、転送から七日以内の答弁を原則としつつ、答弁までに八日以上要すると判断した場合には、質問事項の調査、検討に必要な期間答弁を延期し、質問主意書に対して誠実かつ確実に答弁することが内閣の当然の責務であることを前提としているためであると理解するが、内閣もこの理解に同意するか明らかにされたい。

七 過去に内閣が参議院議員提出の質問主意書に対して行った答弁延期の実績を見ると、会期末以外の時期に提出された質問主意書に対する答弁を延期した例は、平成十八年を境に極端に減っていることが分かる。これは、平成十八年以降、会期末以外の時期に提出された質問主意書には答弁延期を要するものが偶然少なかったためであるのか、それとも、質問主意書については原則として答弁延期しない旨の方針を内閣がとっているためであるのか、明らかにされたい。また、質問主意書については原則として答弁延期しない旨の方針を内閣がとっており、これを定めた文書がある場合、当該文書の標題、日付及び内容を明らかにされたい。

八 前記七の方針がある場合、これを了解した又は前提とした衆議院又は参議院の議院運営委員会理事会決定は存在するか、政府の把握するところを明らかにされたい。存在する場合、当該理事会決定の標題、日付及び内容を明らかにされたい。

九 前記六で述べたように、内閣は、答弁までに八日以上要すると判断した質問主意書に対しては、答弁延期を行った上で誠実かつ確実に答弁しなければならないと考える。前記八の理事会決定が存在しないにもかかわらず、原則として答弁延期しない旨の方針を内閣がとっているとすれば、当該方針は国会議員の質問権を不当に侵害する極めて不適当なものであり、即刻改めるべきではないか。内閣の見解を明らかにされたい。

十 答弁することが真に困難である質問事項については、どの点に答弁上の課題があり、なぜ対応できないのか等を具体的に説明しなければ、当該質問主意書の提出者は、内閣が答弁を困難であるとする理由を理解することができないため、誠実な答弁であるとは評価できない。このような場合の答弁については、現状より丁寧なものとなるよう内閣として今後工夫するべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

  右質問する。