質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

米国カジノ企業の日本市場参入に関する米国からの働きかけに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十月二十四日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   米国カジノ企業の日本市場参入に関する米国からの働きかけに関する質問主意書

 米国カジノ企業の日本市場参入に関する米国からの働きかけに関し、平成三十年十月十一日の毎日新聞電子版で、昨年二月に安倍首相が日米首脳会談のため訪米した際、トランプ米大統領が自身を支持する大口献金者の経営する米国カジノ企業大手「ラスベガス・サンズ」に対し、日本市場参入の免許を与えることを検討するよう強く求め、これに対し、安倍首相は直接の反応は示さなかったものの「情報提供をありがとう」と回答したと、米国のニュースサイト「プロパブリカ」が報道した(以下「英文記事」という。)ことが報じられた。
 この件については、昨年六月十日の日本経済新聞電子版も、トランプ米大統領が「シンゾウ、こういった企業を知っているか」と述べ、ラスベガス・サンズ、MGMリゾーツなどの米国娯楽企業の名前を列挙したことを報じており、「政府関係者によると首相は聞き置く姿勢だったが、隣の側近にすかさず企業名のメモを取らせた」と当時の状況を説明している。この報道について、安倍首相は本年六月一日の衆議院内閣委員会において、「まるでその場にいたかのごとくの記事でございますが、そんな事実は、これは全く、一切なかったということをはっきりと申し上げておきたいと思います」と答弁している。
 また、雑誌「選択」(本年十月号)では、本年七月に、元米国務副長官のリチャード・アーミテージ氏から外務省北米局北米第二課に電話で「日本の大手不動産会社の社長とのミーティングをセットしてほしい」という要請があり、これを受けた外務省は、三菱地所、三井不動産といった大手不動産会社に連絡を取り、「とにかくアーミテージ氏に会ってほしい」と依頼をしたと報じられた。同誌は、アーミテージ氏が、米国カジノ企業大手「シーザーズ・エンターテインメント」の代理人として面談を求めたかったとしており、シーザーズ・エンターテインメントが日本進出のためにタッグを組む不動産会社を探していたと報じている(以下「「選択」記事」という。)。
 なお、シーザーズ・エンターテインメントの公式ウェブサイトに掲載されているプレスリリース(本年一月十五日付)によれば、アーミテージ氏が代表を務める「アーミテージ・インターナショナル」というコンサルティング会社の共同創業者であるカーラ・ブエ氏は、元米国連邦議会上院の院内総務のトーマス・ダシュル氏、元米国通商代表部代表で現在はワシントンDCのウィルマーヘイル法律事務所のシニア・インターナショナル・パートナーを務めるシャーリン・バシェフスキー氏と並んで、同社の日本市場を開拓する「日本諮問委員会」のメンバーである。
 以上を踏まえて、以下の点をお尋ねする。

一 英文記事にある、トランプ米大統領から、ラスベガス・サンズの日本市場参入についての要請が安倍首相に対してあったとの報道は事実か。

二 「選択」記事にある、本年七月に、アーミテージ氏から外務省北米局北米第二課に対し、日本の不動産会社との面談をセットする要請があったとの報道は事実か。事実だとすれば、元米国政府高官の肩書を持つ民間人からの民間不動産会社との面会のセッティング依頼に外務省が応じたことになるが、政府は、この行為は適切であったと考えているか。

三 カジノ施設の誘致に関連して、特定のカジノ企業の代理人である元米国政府高官からの日本市場参入に関する日本政府への働きかけや問い合わせは、今年だけで何件あったか。働きかけを行った元米国政府高官の人数も含めて明らかにされたい。

  右質問する。