質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

北朝鮮が「拉致問題は解決済み」を公式見解とすることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十月二十四日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   北朝鮮が「拉致問題は解決済み」を公式見解とすることに関する質問主意書

 平成三十年六月十二日の米朝首脳会談以降においても、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との姿勢を崩していません。現在、政府が日朝首脳会談の実現を検討していることに鑑み、この北朝鮮の「拉致問題は解決済み」とする立場に関して、政府の見解と方針についてお尋ねします。

一 米朝首脳会談以降においても、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」との姿勢を崩していないことに対する政府の見解をお訊ねします。

二 政府は、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」との姿勢を改めない限り、日朝首脳会談の実現は困難であるとお考えですか。日朝首脳会談の実現に向けた条件について、政府の見解をお伺いします。

三 北朝鮮が「拉致問題は解決済み」との見解を示していることに関し、その打開のための日朝協議については、新たに日朝合同調査委員会を設置して行うものと理解してよろしいですか。

四 政府・拉致問題対策本部が発行している「すべての拉致被害者の帰国を目指して」と題する冊子には、北朝鮮側主張の問題点として、「八名の「死因」には不自然死が極端に多いことに加え、これを裏付ける客観的な証拠がまったく提示されていない」ことが挙げられています。この問題を解決するためには、ストックホルム合意に基づく北朝鮮側の調査報告書の精査が不可欠と考えますが、政府はなぜ調査報告書を受け取らないのか、その理由を明らかにしてください。

五 前記四の冊子には、北朝鮮側主張の問題点として、「北朝鮮側説明には、不自然かつ曖昧な点が多く、また、捜査により判明している事実や帰国被害者の証言との矛盾も多く、説明全体の信憑性が疑われる」ことも挙げられています。このような問題点を解明するために、ストックホルムにおいて日朝合意文書が交わされたと理解するものですが、政府がストックホルムにおいて北朝鮮と合意した目的の中に、「八名は死亡、四名は北朝鮮に入っていない」という北朝鮮側主張の真相究明はふくまれていないのですか。

六 平成二十六年五月のストックホルム合意以降すでに四年が経過しました。この間、政府は、ストックホルム合意に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くすと繰り返し明言しています。しかし、一向に合意文書に書かれたことは履行されていません。政府は、ストックホルム合意に基づく問題解決が進展しない理由はどこにあるとお考えですか。

七 政府は、ストックホルム合意に基づき、拉致問題をはじめとする日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くすと繰り返し明言しています。その一方で、ストックホルム合意に基づく問題解決に反対している北朝鮮による拉致被害者家族連絡会や北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会が主催する集会に、総理大臣、拉致問題担当大臣をはじめ政府幹部が出席しています。これでは、政府の方針がどちらを向いているのか、国民は判断に迷ってしまいます。政府は、なぜ政府の方針に反対する人たちが主催する集会に出席しているのですか。その理由と今後の方針をお示しください。

  右質問する。