質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九三号

内閣参質一九六第一九三号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員藤末健三君提出イラクのクルド人地域に住むヤジディ教徒への支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出イラクのクルド人地域に住むヤジディ教徒への支援に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 国連機関やイラクのクルディスタン地域政府等の調査や発表によれば、平成二十六年以降に多数のヤジディ教徒がいわゆるISILによる人権侵害に直面したとされており、ヤジディ教徒約五十五万人のうち約三十六万人が避難を余儀なくされたとのことであり、現在、イラクでは、同教徒に対するものも含め、深刻な人道危機が継続していると承知している。
 これまで、我が国としては、少数民族を含め、イラクの無辜の人々を標的にしたテロ行為を断固として非難する旨の談話の発出等を通じ、国際世論の喚起に努めてきたところであり、人道支援などの我が国の知見や強みを活かす支援を通じ、いわゆるISILにより傷を負った人々の社会復帰を助け、イラク復興に尽力してまいりたい。

四について

 我が国は、平成二十九年一月、イラクのクルディスタン地域に駐在する邦人の安全確保及び同国との多角的な関係強化を目的として、エルビル市に領事事務所を設置しており、今後も、人道危機への対応において、最大限、同事務所を活用してまいりたい。

五から七までについて

 我が国は、平成二十七年に表明した、御指摘の総額約二億ドルの支援のほか、人道支援のみならず、中長期的な観点から、中東地域の復興や開発を後押しするため、平成二十八年に開催されたG7伊勢志摩サミットにおいて、中東地域安定化のための包括的支援として、平成二十八年から平成三十年までの三年間で総額約六十億ドルの支援を表明し、これらを含む支援を着実に実施してきている。
 イラクにおける難民や国内避難民への人道支援等においては、ヤジディ教徒の居住地域を支援対象に含むものもあり、例えば、国連人間居住計画による都市復旧促進事業に対し、平成二十八年に約六億円を拠出した。我が国としては、引き続き、国際社会と協力しつつ、女性に対する支援を含め、難民や国内避難民への人道支援等を実施していく考えである。

八について

 暴力的過激主義を生み出さない国際社会を実現するためには、平和的な生計手段を確保できる機会が重要であり、その実現に向け、平成三十年四月五日に開催した「イラクの治安改善のための経済開発に係る東京会議」に参加した国や機関を含め、国際社会と広く連携してまいりたい。