質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八一号

内閣参質一九六第一八一号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出改正農薬取締法の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出改正農薬取締法の運用に関する質問に対する答弁書

一について

 農薬取締法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十三号。以下「改正法」という。)による改正後の農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号。以下「法」という。)に基づく農薬の登録又は再評価等に当たっては、環境基本計画(平成三十年四月十七日閣議決定)に示されている「「予防的な取組方法」の考え方」も踏まえて、法第四条第一項各号に掲げる場合に該当するかどうかについて審査を行い、その結果に応じて、農薬の登録の拒否、登録の内容の変更又は登録の取消しを行うこととなる。

二について

 法第九条第三項においては、農林水産大臣は、再評価を行った場合のほか、現に登録を受けている農薬について、農作物、人畜又は動植物等に害を及ぼすおそれがあると認める場合には、農薬の登録の内容の変更又は登録の取消しを行うことができることとされている。農林水産大臣は、農薬製造者から報告を求めること等により、農薬の安全性に関する科学的知見の収集、整理及び分析を行った上で、必要と認められる場合には、迅速かつ適切にこれらの措置を講ずることとしている。

三について

 お尋ねの「EU以外のネオニコチノイド系農薬の使用を規制した国々」が必ずしも明らかではないため、我が国との比較は困難であるが、欧州委員会においてネオニコチノイド系農薬の屋外での使用の禁止が決定された理由である蜜蜂への影響については、我が国では、農薬の登録の審査において、当該影響に関する試験成績の提出を求め、審査を行っている。また、国内における農薬が原因と疑われる蜜蜂の被害事例を調査し、その結果を踏まえて、農薬使用者と養蜂家との間の情報共有及び農薬散布時の蜜蜂の巣箱の退避等の被害軽減対策を講じているところである。

四について

 「リスク評価に資する調査や研究」を網羅的に把握することは困難であるが、例えば、農林水産省が平成二十八年七月に公表した「蜜蜂被害事例調査」によると、農薬が原因と疑われる蜜蜂の被害事例の数は、平成二十七年度には五十件であり、被害の多くは水稲を害するカメムシを防除する時期に発生していた。

五について

 農薬の登録申請時又は再評価時に提出すべき試験成績に発達神経毒性に関する試験成績を追加することについては、現在、関係府省が連携して検討を進めているところである。発達免疫毒性及び内分泌かく乱に関する試験成績を追加すべきかどうかについては、今後、関係府省が連携し、これらに関する科学的知見及び国際的動向を踏まえて、検討することとしている。なお、全ての農薬は法の規制の対象であるため、お尋ねの「試験成績からどのように規制対象の農薬を特定するかについて」は、その意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 改正法の施行の際現に登録を受けている農薬と同一の有効成分を含む農薬の再評価は、国内での使用量が多い農薬から優先的に実施することとしており、御指摘のジノテフランを含む農薬については、国内での使用量が多いことから、優先的に再評価を行うこととしている。

七について

 住宅地等において農薬を使用する場合の農薬の飛散防止措置については、既に、法第二十五条第一項の規定に基づく農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成十五年農林水産省・環境省令第五号)第六条に規定されており、御指摘の通知は、その措置の具体的内容を定めているものである。農薬の安全かつ適正な使用の確保を図るためには、当該省令及び通知の内容が農薬使用者に理解されることが重要と考えており、都道府県による研修、農林水産省等が毎年実施している農薬危害防止運動等の機会を通じて、周知徹底に努めているところである。