質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七七号

内閣参質一九六第一七七号
  平成三十年七月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院副議長 郡司 彰 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国製造業を担う人材の確保・育成と生産性の向上に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国製造業を担う人材の確保・育成と生産性の向上に関する質問に対する答弁書

一の1について

 第四次産業革命に対応した人材育成については、独立行政法人情報処理推進機構において、新たに求められる実務能力の明確化及び体系化が行われており、また、「未来投資戦略二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)において、「産学連携した教育の仕組み等については、官民コンソーシアムの議論を踏まえて、大学協議体や専修学校の人材育成協議会において検討し、具体化する」こととしており、政府として対応を進めている。

一の2について

 お尋ねの「初等中等教育における・・・IT・データサイエンス教育」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省において、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)に基づき行われる、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」について、教材開発や各小学校における指導への支援にも資するよう、平成三十年三月に、各教科等の目標及び内容を踏まえた指導の考え方や企業、団体、地域等との連携の考え方及び進め方等について解説している「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」を公表したところである。

一の3について

 お尋ねの「独創的なソフトウェアを開発できる高い能力を有する人材の育成」については、独立行政法人情報処理推進機構において、ITを駆使してイノベーションを創出することができる、突出した若い人材を発掘・育成するための事業が実施されているところである。
 また、お尋ねの「ハードとソフトの両面の技術に通じる複合的な能力をもつ人材の育成」については、経済産業省において、ハードウェアの製造等も含む産業の現場とITの両方に精通した高度な人材の育成のために必要となる教育プログラム開発への支援等を実施しているところである。

一の4について

 お尋ねについては、経済産業省において、製造の現場の経験が豊富な人材がIoTやロボットの導入に関する知見を学び、IoTやロボットの導入に詳しい人材が製造の現場の改善手法を習得するための研修等を行う「スマートものづくり応援隊」事業により、異なる分野の専門技術を学び、交流する機会を提供することとしている。

一の5について

 お尋ねの「議論を促進するべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省において、若年技能者人材育成支援等事業により、ものづくり分野で優れた技能・経験を有する熟練技能者を「ものづくりマイスター」として認定し、若年技能者等に対する実技指導を行うことを通じ技能伝承の促進に取り組んでいる。

一の6について

 お尋ねの「いわゆる「匠の技」を自動化・デジタル化する人材、また、既存の技をブラッシュアップさせ、付加価値向上を探求する人材等の育成環境」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、工業に関する学科を設置している高等学校については、国において、教育課程の基準である高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十四号)を定めており、各学校において、地域や学校、生徒の実態等を踏まえ、工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、工業技術の諸問題を主体的、合理的に解決し、工業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育成する教育が行われていると承知している。また、高等専門学校においては、五年一貫の専門教育を通じ、実践的・創造的な技術者の養成が行われていると承知しており、文部科学省において独立行政法人国立高等専門学校機構運営費交付金を交付するなど、必要な支援を行っているところである。

二について

 お尋ねの「企業再編手続き」及び「事業譲渡の際の雇用や労働条件の保護に関する法律を整備する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、会社法(平成十七年法律第八十六号)第五編第三章及び第五章の規定による分割をするとき、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成十二年法律第百三号)第二条第一項及び第二項並びに会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律施行規則(平成十二年労働省令第四十八号)第一条及び第三条において、会社に対し、同法第二条第三項に規定する通知期限日までに、労働者及び労働組合へ分割会社から承継会社等に承継される事業の概要等について、労働者へ効力発生日以後における分割会社又は承継会社等において当該労働者について予定されている従事する業務の内容、就業場所その他の就業形態等について、通知することが義務付けられている。また、事業譲渡において労働契約を承継する場合には、労働契約の承継を予定している労働者から、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百二十五条第一項に規定する承諾を得る必要があることとなっている。さらに、事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針(平成二十八年厚生労働省告示第三百十八号)において、「譲渡会社等は、承継予定労働者から承諾を得るに当たっては、真意による承諾を得られるよう、承継予定労働者に対し、事業譲渡に関する全体の状況・・・承継予定労働者が勤務することとなる譲受会社等の概要及び労働条件・・・等について十分に説明し、承諾に向けた協議を行うことが適当であること」等が留意事項として示されている。厚生労働省において、これらの周知に努めているところである。