質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六七号

内閣参質一九六第一六七号
  平成三十年七月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出特定複合観光施設区域整備法案と日本国憲法の規定する法の下の平等に対する政府の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出特定複合観光施設区域整備法案と日本国憲法の規定する法の下の平等に対する政府の考え方に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「本法案が規定するカジノ施設をして、外国人一般の我が国への渡航を促すことにつながる具体的な理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の特定複合観光施設区域整備法案は、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業の収益を活用して、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現しようとするものである。

二について

 政府としては、特定複合観光施設区域の整備を推進することにより、我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、国内外からの観光旅客の来訪及び滞在を促進することが重要であると考えており、「外国人富裕層は賭博行為たるカジノ行為をする機会がなければ我が国を観光しないと政府は理解している」との御指摘は当たらない。

三、五及び六について

 御指摘の「本法案が規定するカジノ施設が外国人富裕層を対象にしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(平成二十八年法律第百十五号)では、カジノ施設の利用に関し、第十条第二項において「外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずる」こととされ、日本人のカジノ施設の利用を一律に禁止することとはされていない。
 これを踏まえ、特定複合観光施設区域整備法案においては、カジノ行為に対する依存防止に関し、日本人及び本邦内に住居を有する外国人を対象として、入場回数の制限、入場料の賦課及びカジノ事業者による貸付の制限を行うとともに、全ての入場者を対象として、入場者又はその家族等の申出によるカジノ施設の利用を制限する措置、カジノ行為に対する依存による悪影響を防止する観点からカジノ施設を利用させることが不適切であると認められる者のカジノ施設の利用を制限する措置等を講ずることをカジノ事業者に義務付けるほか、認定区域整備計画の数の上限の設定、一の特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数の限定、カジノ施設に係る面積の制限、カジノ事業又はカジノ施設に関する広告及び勧誘の規制を行う等の重層的・多段階的な取組を制度化し、万全を期したものである。
 このように、同法案は、カジノ行為に対する依存防止に関し、御指摘のような日本人又は外国人富裕層に対しても、適切な対策を講じているものである。

四について

 特定複合観光施設区域整備法案においては、カジノ行為を行う顧客について、「一定以上の金銭をカジノ事業者に預託することができる資力を有する者」に限ることとはしておらず、御指摘のような「日本人については富裕層にのみカジノ行為を容認する」こととはしていない。

七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、政府としては、「観光客である外国人」に対しても、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない差別的な取扱いは許されないと考えており、特定複合観光施設区域整備法案も、この考え方を前提として作成したものである。