質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六二号

内閣参質一九六第一六二号
  平成三十年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出同一労働同一賃金と諸手当の同一化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出同一労働同一賃金と諸手当の同一化に関する質問に対する答弁書

一について

 諸手当制度共通化コース助成金(以下「助成金」という。)においては、事業主が、その雇用する有期契約労働者等について、通常の労働者と共通の手当の制度を整備し、当該制度に基づき、有期契約労働者等に対して当該手当を支払った場合に、一定の助成を行っているところであり、政府としては、引き続き助成金の活用を促進するため、周知等に取り組んでまいりたい。

二及び五について

 同一労働同一賃金ガイドライン案(以下「ガイドライン案」という。)に規定されていた事項に関しては、その考え方を踏まえ、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号。以下「働き方改革推進法」という。)による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号。以下「短時間・有期雇用労働法」という。)第八条において、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」こと、また、働き方改革推進法による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第三十条の三第一項において、「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない」こととされたところである。
 お尋ねの「通勤手当」、「食事手当」及び「地域手当」並びに「退職金」、「家族手当」及び「住宅手当」については、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者又は派遣労働者との間において、短時間・有期雇用労働法第八条及び労働者派遣法第三十条の三第一項の規定により、不合理と認められる相違を設けてはならないこととなる。
 なお、ガイドライン案に規定されていた事項については、これらの規定に係る国会における審議、今後の労働政策審議会における議論等を踏まえ、今後、短時間・有期雇用労働法第十五条第一項及び労働者派遣法第四十七条の十一の規定に基づく指針(以下「指針」という。)において、事業主が講ずべき措置に関してその適切かつ有効な実施を図るために必要な事項の一つとして、短時間・有期雇用労働法第八条及び労働者派遣法第三十条の三第一項に関する事項を定める予定である。

三について

 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者又は派遣労働者との間に待遇の相違がある場合において、当該待遇の相違が不合理なものであるか否かは職務の内容等により異なり得ること、また、労働者の待遇の見直し方については個々の企業ごとに様々であることから、各企業における個別具体の手当の減額又は廃止の可能性を見込むことは困難であるが、政府としては、基本的には、同一労働同一賃金に対応するために、同一企業において、労使で合意することなく通常の労働者の待遇を不利益に変更することは、望ましい対応ではないと考えているところであり、このような考え方を指針等において明らかにすること等について検討してまいりたい。

四について

 手当を支給する目的やその具体的内容については、個々の企業ごとに様々であることから、個別具体の手当の目的等について網羅的にお示しすることは困難であるが、二及び五についてでお答えしたとおり、今後、指針において、事業主が講ずべき措置に関してその適切かつ有効な実施を図るために必要な事項の一つとして、短時間・有期雇用労働法第八条及び労働者派遣法第三十条の三第一項に関する事項を定める予定である。