質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六一号

内閣参質一九六第一六一号
  平成三十年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出同一労働同一賃金を理由とした正規雇用労働者の労働条件の引下げの可否に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出同一労働同一賃金を理由とした正規雇用労働者の労働条件の引下げの可否に関する質問に対する答弁書

一について

 労働条件の変更については、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)において既にそのルールが規定されており、例えば、就業規則の変更による労働条件の変更については、同法第十条において、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」とされている。

二について

 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間の待遇の相違については、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成三十年法律第七十一号)による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第八条等において、不合理と認められる相違を設けてはならない旨の規定等を設けており、待遇の相違の「解決を労使協議に委ねる」ものではない。

三及び四について

 御指摘の「労使双方で合意することなく就業規則の変更により正規雇用労働者の不利益に労働条件を変更する場合は、合理的な変更でなければならないとされている」とは、労働契約法の規定を指すと考えられるが、就業規則による労働条件の変更のルールについては、同法第九条において、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない」と規定され、同法第十条において、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」と規定されている。
 お尋ねの「労使双方の合意がない場合の就業規則の変更による正規雇用労働者の労働条件の引下げに関して、政府は、どのような場合には不利益な変更が認められるとしているのか例示されたい」については、個別具体的な事案に即して判断される必要があり、一概にお答えすることは困難である。
 また、個別具体的な事案における労働条件の不利益変更について、合理的なものでないと司法において判断された場合には、当該不利益変更は認められないこととなる。