質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第七〇号

内閣参質一九六第七〇号
  平成三十年四月二十日

内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 菅 義偉   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出タクシーを始めとする旅客運送をめぐる諸課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出タクシーを始めとする旅客運送をめぐる諸課題に関する質問に対する答弁書

一について

 自家用自動車の運転者個人が自家用自動車を用いて他人を有償で運送するサービスであって、当該運転者と乗客とをスマートフォンのアプリケーション等を通じて仲介するもの(以下「自家用自動車ライドシェア」という。)についてお答えすれば、御指摘の「トラブル」の把握については、衆議院議員辻元清美君提出世界各国における自家用車ライドシェアをめぐる犯罪行為等に関する質問に対する答弁書(平成二十八年十二月二十日内閣衆質一九二第二二九号)二についてでお答えしたとおりである。
 また、自家用自動車ライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用自動車の運転者のみが運送責任を負う形態を前提としており、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えている。そのため、自家用自動車ライドシェアが行われている国における御指摘の「タクシー運転者の雇用やタクシー事業・バス事業の経営に与える影響」、「運転手の収入」及び「輸送の安全に与える影響」について、特段の調査は行っていない。

二について

 御指摘の「白タク行為」については、取締りに際して実態に即した事実関係の把握を行い、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第四条第一項の規定に違反する行為としてのほか、同法第七十八条の規定に違反する行為として取り締まってきているところであり、今後とも、取締りや訪日外国人に対する啓発活動を強化してまいりたい。
 また、いわゆる白タク行為について、同法第四条第一項又は第七十八条違反で検挙した直近五年間の件数は、平成二十五年に六十二件、平成二十六年に三十八件、平成二十七年に七件、平成二十八年に四件及び平成二十九年に四十七件であるが、そのうち御指摘の「旅行者と出身国が同じである者による」ものに関する統計は存在しない。
 御指摘の「「友達の友達を乗せただけ」という弁明を行い検挙を免れようとする者」についても、法と証拠に基づき、事案に応じた適切な措置を講じてまいりたい。

三について

 御指摘の「タクシー配車サービスの利用に係る経費を運転者に負担させる」という行為については、政府として事例を把握していないが、御指摘のとおり、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行については、「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十五年十一月八日衆議院国土交通委員会)及び「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成二十五年十一月十九日参議院国土交通委員会)では、事業者において、「賃金制度等の改善」の一環として見直しに努めることとされているところである。
 政府としては、事業者に対し、監査等の機会を捉え、これらの附帯決議を踏まえて対応するよう働き掛けを行っているところであり、今後とも、労使の代表が話し合う機会を設け、事業者に対し、真摯な対応を行うよう促すなど、適切に対応してまいりたい。