質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一九六第六六号
  平成三十年四月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出高度プロフェッショナル制度の適用対象に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出高度プロフェッショナル制度の適用対象に関する質問に対する答弁書

一、三及び五について

 労働政策審議会が平成十九年二月に答申した労働基準法の一部を改正する法律案要綱における自己管理型労働制(以下「自己管理型労働制」という。)は、対象業務について、「労働時間では成果を適切に評価できない業務」とされていた。また、年収要件については、「年収が相当程度高い」こととされた上で、具体的には、「対象労働者としては管理監督者の一歩手前に位置する者が想定されることから、年収要件もそれにふさわしいものとすることとし、管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、かつ、社会的に見て当該労働者の保護に欠けるものとならないよう、適切な水準を検討した上で厚生労働省令で定める」こととされていた。
 これに対して、現在、国会に提出している働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案におけるいわゆる高度プロフェッショナル制度は、対象業務について、「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務」としている。また、年収要件については、「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。)の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上である」こととしている。さらに、いわゆる高度プロフェッショナル制度においては、「使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められている」ことを要件の一つとしており、この点についても自己管理型労働制と異なる。
 このように、自己管理型労働制といわゆる高度プロフェッショナル制度は異なる制度である。

二について

 平成十七年六月二十一日に一般社団法人日本経済団体連合会が公表した「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」において、「ホワイトカラーエグゼンプション制度」の「適用対象者の要件」として、「当該年における年収の額が四百万円(又は全労働者の平均給与所得)以上であること。年収額が四百万円未満の労働者については新制度を適用しない。法令で定める業務に加えて労使で対象業務を定める場合、年収額が七百万円(又は全労働者の給与所得の上位二十パーセント相当額)以上の者については、労使協定の締結又は労使委員会の決議のいずれにおいても追加を可能とする。また、前記の場合、年収額が四百万円(又は全労働者の平均給与所得)以上、七百万円(又は上位二十パーセントの給与所得に相当する額)未満である者については、労使委員会の決議のみにより追加を可能とする」という記述があることは承知している。

四について

 お尋ねについては、「労働や社会保障、税制等の分野」及び「年収」の範囲が明らかでないため、お答えすることは困難であるが、法律に定める制度の対象となる要件として年間の合計所得金額が規定されているものについて、当該金額を改正した例としては、例えば、地方税法等の一部を改正する法律(平成三十年法律第三号)及び所得税法等の一部を改正する法律(平成三十年法律第七号)がある。