質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第五九号

内閣参質一九六第五九号
  平成三十年四月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出医師等医療従事者の働き方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出医師等医療従事者の働き方に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省に設置された「医師の働き方改革に関する検討会」(以下「検討会」という。)において取りまとめられた、御指摘の「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」(以下「緊急的取組」という。)には、検討会における疲労等に関する有識者からのヒアリング等も踏まえ、医師の労働時間短縮に向けた取組として、医療機関において、当直明けの勤務負担の緩和、勤務間インターバルの設定など医療機関等の特性を踏まえた取組を積極的に検討し、導入するよう努める等の内容が盛り込まれているところである。緊急的取組に盛り込まれた取組は、医師の疲労の軽減にも資するものであると考えており、「ヒューマンエラーを誘発する長時間労働を是正するという観点が欠如している」との御指摘は当たらない。

二から四までについて

 医療機関における医療の安全の確保のためには、医療従事者が自ら健康管理を行い、また、医療機関においても、医療従事者の健康状態を把握し、リスク管理を行うことが重要であると考えている。
 厚生労働省に設置された「医療安全対策検討会議」が平成十四年四月に取りまとめた「医療安全推進総合対策」においても「安全に医療を提供するためには、医療従事者が自らの健康や生活を管理することが必要であり、自分の体調を常に把握し、健康の自己管理を行わなければならない。管理者としては、このような職員の意識の醸成を図るとともに、職員が健康を保持しつつ業務に当たることができるよう、職場環境の整備を行うことが必要である」との提言がなされているところであり、当該提言については、同省から各都道府県等を通じて医療機関、医療関係団体等へ周知しているところである。
 また、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)では、病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならないこと等が定められているとともに、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)では、事業者に対し、長時間労働により疲労の蓄積が認められる労働者に対する医師による面接指導等の実施が義務付けられているところである。
 さらに、医師については、検討会において、平成三十年度末を目途とするその最終報告の取りまとめに向け、労働時間の短縮策等について検討しており、検討会が平成三十年二月に取りまとめた「中間的な論点整理」においても、「患者に安全かつ質の確保された医療を提供するために、医師が疲弊しないことが必要なのではないか」、「米国の研修医に対する労働時間規制は、医療安全の観点から導入されたことも参考にしてはどうか」といった意見を踏まえた検討が必要ではないかとされているところである。検討会の議論も踏まえつつ、引き続き、医療安全の確保の観点からも、医療従事者の勤務環境の改善に向けた検討を進めてまいりたい。

五について

 診療報酬の改定率については、物価、賃金等の動向、医療機関の経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案して、予算編成過程において決定しており、今後とも、適切に対応してまいりたい。