質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一九六第五一号
  平成三十年四月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員相原久美子君提出介護保険の訪問介護の「生活援助」に係る運営基準の改定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員相原久美子君提出介護保険の訪問介護の「生活援助」に係る運営基準の改定に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「ケアプランの事前届出」は、生活援助中心型指定訪問介護(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第十九号)別表指定居宅サービス介護給付費単位数表の1の訪問介護費の注3に定める生活援助が中心である指定訪問介護をいう。以下同じ。)について、利用者の自立支援及び要介護状態の重度化防止、地域資源の有効活用等の観点から、通常の介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第八条第二十四項に規定する居宅サービス計画(以下「ケアプラン」という。)に定められる回数からかけ離れた回数の生活援助中心型指定訪問介護が定められたケアプランを市町村(特別区を含む。以下同じ。)に届け出ることを義務付け、当該ケアプランについて、市町村が地域ケア会議等において検証を行い、必要に応じて、ケアプランの内容の是正を促すことを目的としている。

一の2について

 生活援助中心型指定訪問介護については、必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な課題があるという指摘がある一方で、利用者の様々な事情により、その利用回数の多いことが必ずしも不適切とは限らないことを踏まえ、通常のケアプランに定められる回数からかけ離れた回数の生活援助中心型指定訪問介護が定められたケアプランを届出の対象とすることとしている。

一の3について

 御指摘の「ケアプラン点検事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、市町村は、法第百十五条の四十五第二項第三号の規定により、ケアプランの検証その他の取組を通じ、被保険者が地域において自立した日常生活を営むことができるよう、包括的かつ継続的な支援を行う事業を行うものとされているところ、御指摘の「ケアプランの事前届出」により市町村に届け出られたケアプランについては、当該検証等の対象となるものである。

一の4について

 御指摘の「ケアプランの事前届出」は、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(平成三十年厚生労働省令第四号)第二条の規定による改正後の指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十八号。以下「新基準省令」という。)第十三条第十八号の二の規定による基準に従い市町村が定める条例に基づく義務であり、市町村長(特別区にあっては、区長)は、指定居宅介護支援事業所(新基準省令第二条第一項に規定する指定居宅介護支援事業所をいう。)に置かれる介護支援専門員が当該義務に違反したと認める場合は、法第八十三条の二又は第八十四条の規定により、指定居宅介護支援事業者(法第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者をいう。)に対する勧告、命令又は指定の取消し等を行うことができることとされている。

一の5について

 市町村は、利用者の自立支援及び要介護状態の重度化防止の観点から、より良いケアプランとするため、地域ケア会議等において検証を行い、ケアプランの内容の見直しが必要と判断した場合に是正を促すものである。
 なお、新基準省令第十三条第十八号の二の規定は、平成三十年十月一日から施行することとしており、厚生労働省においては、同日までの間に、市町村がケアプランの検証を適切に行うことができるよう、市町村向けのマニュアルを作成し、周知することとしている。

一の6について

 市町村は、法第百十五条の四十五第二項第三号の規定により、ケアプランの検証その他の取組を通じ、被保険者が地域において自立した日常生活を営むことができるよう、包括的かつ継続的な支援を行う事業を行うものとされている。
 また、当該検証等を踏まえたケアプランの変更を行う場合には、介護支援専門員は、新基準省令第十三条第十六号において準用する同条第十号の規定による基準に従い市町村が定める条例により利用者の同意を得る必要があり、介護支援専門員は、利用者又はその家族に対し是正の趣旨等について十分な説明を行う必要がある。

一の7及び二について

 御指摘の「ケアプラン点検事業」及び「不利益が生じたことに対する責任」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「サービス内容の是正指導」は、通常のケアプランに定められる回数からかけ離れた回数の生活援助中心型指定訪問介護が定められたケアプランについて、多職種による幅広い視点で検証し、利用者の自立支援及び要介護状態の重度化防止の観点からより良いケアプランを提案するものであり、例えば、一定の回数を超える場合に一律に生活援助中心型指定訪問介護の利用を制限するといったものではないことから、「介護保険制度の趣旨に反する」等の御指摘は当たらない。