質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一九六第八号
  平成三十年二月九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員糸数慶子君提出在沖縄米軍の航空機事故等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出在沖縄米軍の航空機事故等に関する質問に対する答弁書

一、二及び七について

 平成二十九年一月一日以降に発生した在沖縄米軍の航空機による事故等について、現時点で政府として確認している範囲で①発生日及び②概要をお示しすると次のとおりである。
①平成二十九年一月二十日 ②沖縄県うるま市におけるAH一の予防着陸
①平成二十九年五月二十六日 ②嘉手納飛行場を離陸し、同飛行場に帰投するまでの間におけるF一五の部品の遺失
①平成二十九年六月一日 ②沖縄県島尻郡久米島町におけるCH五三の予防着陸
①平成二十九年六月十日 ②鹿児島県奄美市におけるMV二二の予防着陸
①平成二十九年八月五日 ②オーストラリア連邦東海岸沖におけるMV二二の米揚陸艦との衝突・海中落下事故
①平成二十九年八月二十九日 ②大分県国東市におけるMV二二の緊急着陸
①平成二十九年九月二十九日 ②沖縄県石垣市におけるMV二二の予防着陸
①平成二十九年十月十一日 ②沖縄県国頭郡東村におけるCH五三の緊急着陸
①平成二十九年十二月十三日 ②沖縄県宜野湾市におけるCH五三の部品の落下
①平成三十年一月六日 ②沖縄県うるま市におけるUH一の緊急着陸
①平成三十年一月八日 ②沖縄県中頭郡読谷村におけるAH一の予防着陸
①平成三十年一月二十三日 ②沖縄県島尻郡渡名喜村におけるAH一の予防着陸
 また、政府としては、これらの事故等に関し、米側に対して、原因究明及び情報提供を求めるとともに、それぞれの事故等の態様を踏まえ、再発防止、飛行停止等も求めてきているところである。
 これらの事故等において米側がとった主な対応は、現時点で政府として確認している範囲で事故等ごとにお示しすると次のとおりである。
 (一)平成二十九年一月二十日、同年六月一日、同月十日及び同年九月二十九日の米軍機の予防着陸
 当該機体の徹底的な点検及び整備を実施し、同機体の安全を確認した。
 (二)平成二十九年五月二十六日のF一五の部品の遺失
 当該機体の徹底的な点検及び整備を実施し、同機体の安全を確認した。
 (三)平成二十九年八月五日のMV二二の事故
 同型機の飛行の停止、事故につながった全要因の分析、全ての飛行隊員に対する飛行基準及び安全手順の遵守に関する指示等を実施した。
 (四)平成二十九年八月二十九日のMV二二の緊急着陸
 当該機体の徹底的な点検及び整備を実施し、エンジンを交換し、同機体の安全を確認した。
 (五)平成二十九年十月十一日のCH五三の緊急着陸
 同型機について、飛行を停止した上で、徹底的な点検及び整備を実施するとともに、全ての搭乗員及び整備員に対し、安全に関する再教育等を実施した。
 (六)平成二十九年十二月十三日のCH五三の部品の落下
 同型機について、徹底的な点検を行い、その間の同型機による飛行は行わなかった。また、全ての搭乗員、整備員及び地上要員に対し、安全に関する再教育等を実施するとともに、外来機を含め、普天間飛行場を離発着する全ての米軍機の搭乗員に対し、宜野湾市立普天間第二小学校を含む全ての学校の上空の飛行を最大限可能な限り避けるよう指示した。
 (七)平成三十年一月六日のUH一の緊急着陸
 米側において、当該事案の原因について調査中である。
 (八)平成三十年一月八日及び同月二十三日のAH一の予防着陸
 当該機体の徹底的な点検を行うとともに、同型機について、追加的な点検を行い、その間の同型機の飛行は行わなかった。さらに抜き打ちの安全整備検査を行った。また、全ての搭乗員に対し、安全に関する再教育等を実施した。
 政府としては、米軍機の飛行に際しては、安全の確保が大前提であり、事故等は起きてはならないものと考えており、平成二十九年十一月六日のトランプ米国大統領訪日の際にも、安倍内閣総理大臣から直接、同大統領にこの考えをしっかりと伝え、同大統領と、事故等に関する地元の方々の安全に対する懸念を軽減する重要性を再確認したところである。さらに、平成三十年二月二日の日米首脳電話会談において、同内閣総理大臣から同大統領に対して、米軍機の厳格な安全確保を強く要請したところである。
 また、平成三十年一月九日の小野寺防衛大臣とマティス米国国防長官との電話会談において、同長官からは、緊急着陸等が続いていることについて謝罪があり、これらの再発防止について、重要な課題としてしっかりと取り組む旨の表明があったところである。
 さらに、同日(現地時間)の同大臣とハリス米太平洋軍司令官との会談において、同司令官からは、日本国内、特に沖縄において、米軍機による事故が起きたことに対し、心からの遺憾の意の表明があったところである。
 いずれにせよ、政府としては、米軍機の飛行に際しては、安全の確保が大前提であり、米側に対し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き求めていく考えである。

三について

 一、二及び七についてで述べた事故等の調査は、米側において行われており、政府としては、必要に応じ、これらの調査の結果について、自衛隊の専門的知見も活用して確認してきたところである。

四について

 個別の事案について、捜査機関が犯罪の嫌疑を認めるか否かについては、答弁を差し控えたい。

五について

 沖縄県宜野湾市において、平成二十九年十二月七日に航空機の部品が発見された事案及び同月十三日に在沖縄米軍のCH五三の窓が落下した事故については、沖縄県警察、沖縄防衛局等において、現場の状況を確認する等の事実確認を行ってきたところであるが、現在、米側において、これらの事案の詳細について調査中であると承知しており、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねの事案については、現在、日米間で事実関係等について確認を行っているところであり、お答えすることは困難である。
 いずれにせよ、在沖縄米軍の航空機が宜野湾市立普天間第二小学校の上空を最大限可能な限り飛行しないという点については、日米間で認識が一致している。

八について

 在沖縄米軍の航空機の点検及び整備については、その種類等に応じ、米軍が自ら行い、又は米側から委託を受けた民間企業が行っていると承知している。
 政府としては、点検及び整備の実施主体のいかんにかかわらず、米軍機の飛行に際しては、安全の確保が大前提であり、米側に対し、安全面に最大限の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き求めていく考えである。