質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二二四号

学校法人城西大学で起きた「官製クーデター」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月二十日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   学校法人城西大学で起きた「官製クーデター」に関する質問主意書

 学校法人城西大学においては、二〇一六年十一月三十日、理事会における文部科学省OBの小野理事の緊急動議により、創立者で初代理事長を務めた水田三喜男氏の息女水田宗子理事長が事実上解任されたと聞く。同氏が二〇一七年十二月二十六日に出版した著書「奪われた学園」(幻冬舎)には、文部科学省OB複数名が主導した乗っ取り劇が詳細に記述されており、出版社が付した帯や本文には、文部科学省の権威(具体的には学校法人運営調査)を悪用した「官製クーデター」を指摘する記述がある。
 その後、水田元理事長及び同元理事長に近い多くの教職員への追い出し人事が強行され、学生の学ぶ権利に影響が出ているとも聞く。一部に訴訟が提起されているが、日本の裁判は最終結審まで長い時間がかかることが予想され、その間に、多くの教職員、学生、保護者等に混乱が生じている異常事態が放置されて良いとは考えられない。
 この問題が、単なる一大学の内紛劇ではなく、中央官庁の天下り幹部OBが主導的に関与した、優良経営を続ける有力私立大学の乗っ取りであるとすれば、人づくり革命を推進しつつある政府の今後の大学政策に大きく影響する問題であると思われる。このような認識を踏まえ、以下質問する。

一 元監事らが私立学校法第三十七条第三項第四号に基づき、当該理事会での小野理事の不正行為(「官製クーデター」)等を所轄庁である文部科学省に報告したが、その後、同省から元監事らに何の連絡もされていないことについて

 元監事らは二〇一七年三月二十九日付で文部科学大臣宛に法令に基づく報告と調査要求を提出し、その後も数回にわたり再上申を行ったが、これらに対して一切の返答がされていない。最近になって、文部科学省は「学校法人に対し確認を求め、理事会の議を経て、また、新たな監事にも確認を頂いた上での回答を得た」としているが、自ら調査せず、学校法人に問い合わせるだけでは、同法の目的を達成できないのではないか。文部科学省は元監事らの報告をなぜ無視したのか。同学校法人は同省のお墨付きを得たとしてその後の異常経営に拍車をかけているとみられる。国は早急に、第三者の協力を得て、事態の客観的かつ公正な調査と必要な行政上の措置を講じるべきではないか。

二 裁判で係争中であることを理由に、文部科学省が学校法人の異常経営を容認していることについて

 前記一の元監事らの主要な指摘は、水田元理事長らが裁判で係争中の問題と直接には関係しない。文部科学省の不作為によって、新執行部による異常経営は現在も継続している。例えば、城西国際大学客員教授らに対する雇い止め事案では、東京地方裁判所への労働審判の提訴等の一方で、指導中の学生への教育・研究指導に支障がないよう経過措置を設けるべく団体交渉を続けるとともに、文部科学省に対し調査要求をしている。また、博士論文提出予定満期退学者が水田元理事長の指導を受けられず論文提出の目途が立たない事案では、六百三十七名の署名を付し大学理事長へ要望書を提出するとともに、文部科学大臣等に事態解決の支援を要請している。不安と困難にさらされている多くの教職員、学生の状況を救済するため、文部科学省による早急な対応が必要と考えるがいかがか。

  右質問する。