質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二一七号

日本国が保有する余剰プルトニウムの処分に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月二十日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日本国が保有する余剰プルトニウムの処分に関する質問主意書

 河野太郎外務大臣は、本年七月十七日の記者会見において、日米原子力協定の自動延長について記者から質問された際に、日本国が保有するプルトニウムについて、「日本が持っている大量のプルトニウムについて、きちんと削減に向けた努力をしていくということが大切になってくると考えております」と発言した。また加えて、「使用目的のないプルトニウムを持たないという原則でやってきているということでございます。「もんじゅ」が廃炉になりましたので、様々調整が必要になってくる部分というのは当然あろうかと思いますが、不拡散体制をしっかりと維持するためにも日本としてできることはきちんとやりながら、この原子力協定を維持していくということになるのだろうと思います」と述べている(以下「河野大臣の発言」という。)。
 河野大臣の発言に関連し、政府の見解を確認したいので、以下質問する。

一 政府は、日本国が保有するプルトニウムについて、現在どのような削減方法を有しており、実行に移しているか。

二 政府は、本年七月に閣議決定した「エネルギー基本計画」において、「安全確保を大前提に、プルサーマルの推進、六ヶ所再処理工場の竣工、MOX燃料加工工場の建設、むつ中間貯蔵施設の竣工等を進める。また、平和的利用を大前提に、核不拡散へ貢献し、国際的な理解を得ながら取組を着実に進めるため、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組む」と記載している。日本国が保有するプルトニウムのMOX燃料への加工は、河野大臣の発言における「削減に向けた努力」の対象に含まれるか。

三 雑誌「Nature」(二〇一二年五月十日号)に掲載された、フランク・フォン・ヒッペル(プリンストン大学教授)らの共同論文「Time to bury Plutonium」において、MOX燃料への加工よりも、安全でコストのかからないプルトニウムの処分方法は、再処理をやめ、かつ、保有しているプルトニウムを埋設してしまうことだと述べている。具体的には、プルトニウムをセラミックで固めて「固定化」(Immobilization)し、次にこの固定化したプルトニウムを、使用済み核燃料や核廃棄物とともに、地下五百メートルの貯蔵庫に埋設することを提唱している。河野大臣の発言における「削減に向けた努力」にはこの手法も含まれるか。

四 仮に前記三の固定化の手法が、前記二のMOX燃料への加工よりも低コストで実現できるとするヒッペル教授らの指摘が事実だった場合、政府は、現在のプルサーマル計画を中止することも視野に入れることを検討するか。

  右質問する。