質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二一三号

「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)」の事業の実施に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)」の事業の実施に関する質問主意書

 政府が構想している「カジノを中核とする統合型リゾート(IR)」の事業の実施に関し、以下の通り質問する。

一 特定複合観光施設区域整備法案(以下「IR実施法案」という。)では、都道府県等が民間事業者を選定し、民間事業者と共同で区域整備計画を作成して、国に申請を行い、国の認定を受けることとされている。民間事業者の選定、区域整備計画の認定は、ごく限られた者に特権を与えることから、地域住民の理解を得て進めることに加え、プロセスの透明性を確保することが不可欠である。
 プロセスの透明性を確保するため、IR実施法案ではどのような措置を講じているのか。

二 カジノ事業者に義務付ける国や地方自治体への納付金率はカジノ行為粗収益の三十%と定率であり、累進制をとっていない。政府が累進制を採用しなかった理由を示されたい。

三 IR実施法案では、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律及び、政府の有識者会議における昨年七月の「取りまとめ」を踏まえ、いわゆる三条委員会として、カジノ管理委員会を設置することとされている。カジノ管理委員会は、カジノ事業の規制ルールの策定、カジノ事業者等に対する背面調査など、カジノ規制に関して広範にわたる業務を担うこととされている。政府は、クリーンなカジノを実現するため、「世界最高水準のカジノ規制導入」と「的確な執行体制の整備」を掲げているが、それを担うカジノ管理委員会の事務局の職員数をどの程度必要だと想定しているのか。また、広範にわたる業務を担う能力を持った職員を確保することができると考えているのか。

四 前記三に関連し、衆議院での議論を聞く限り、事業者がカジノ管理委員会の事務局に入ることもあり得るとのことだが、その場合、厳格な背面調査など、規制の実効性が確保される仕組みとして、どのようなことを考えているか。

五 カジノを解禁することで、犯罪捜査などに充てるべき警察職員や他の公務員が、カジノという本来刑法で禁じられている業種の規制のために多くの労力をさくことになる。そもそも、公務員を増やすことに対しては、行政コストの増大という観点から、国民の厳しい目が向けられている。カジノが設置されるということになれば、カジノの規制は当然必要であるが、カジノの解禁について多くの国民が反対している現状において、カジノ規制を行うために、警察などの貴重な人的資源を使うことは、国民の理解を得られないのではないか。

  右質問する。