質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇九号

公正な行政を担保するための情報公開と公文書管理の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   公正な行政を担保するための情報公開と公文書管理の在り方に関する質問主意書

 公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)の第一条は、公文書が「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であるとした上で、行政が適正かつ効率的に運営されるようにすること及び国等が有する諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることが同法の目的であるとしている。
 しかるに、森友学園への国有地売却問題、獣医学部の新設をめぐる加計学園問題、さらには、自衛隊の海外派遣に関する日報問題(以下「今回の事件」という。)が続発し、公文書管理の在り方に大きな疑念を生じさせる事態となっている。公正な行政を担保するために、情報公開と公文書管理の在り方を抜本的に見直すことが求められている。
 以上の前提の下、以下の通り質問する。

一 真正な公文書は、民主主義を維持していくために必要な資源である。そのことを政治家、官僚は十分理解した上で公文書を残していくということを常に意識して行動しなければならない。しかるに今回の事件により、情報公開や公文書管理をめぐる官僚の意識に問題があることが明らかになった。そこで、現在、官僚に対し、情報公開や公文書管理についてどのような研修や教育が行われているのか説明されたい。あわせて、当該研修や教育にどのような問題点や足らざる点があり今回の事件に至ったのか、政府の分析を示されたい。また、今回の事件を受けて、当該研修や教育についてどのような改善を実施又は検討しているのか明らかにされたい。

二 森友学園への国有地売却問題で、国会に開示された文書は、二〇一五年の契約当時の決裁文書を改竄したものであった。公文書の改竄を防止する仕組みを構築する必要がある。これに関し、電子情報を記録する仕組みである「ブロックチェーン」技術を公文書管理に導入することが、一部の有識者から提案されている。ブロックチェーンによる公文書管理には、文書の内容を明らかにせず、文書の同一性(文書の真正性)を証明できるというメリットがあり、イギリスやエストニア、ドバイ等で導入され又は導入が検討されている。我が国でのブロックチェーンによる公文書管理の導入に向けて積極的な検討を行うべきと考えるが、政府の見解を伺う。

三 森友学園への国有地売却問題について、報道機関のスクープによって決裁文書の改竄が報道され、大きく事件化したので、財務省は改竄の事実を認めたという経緯がある。府省等による決裁文書の改竄の事実について、外部の者により公とされるのではなく、府省等自らが当該改竄の事実を認識した際に、これを公にしなければならないとする法令上の制度があれば、説明されたい。

四 行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく開示請求を行った際、開示請求した行政文書が本当は存在するのに、その存在を開示請求された行政機関が認めない場合、当該開示請求を行った者は、どのようにすれば当該行政文書の開示を受けることができるか。

五 今回の事件は、公文書管理法がその目的通り機能していないことを明らかにした。同法の目的を達成するための抜本的な改善策として、公文書管理を、外部から監督・指導する体制の強化が必要不可欠と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 今回の事件が発生した構造上の原因の一つとして「保存期間一年未満文書」の在り方が挙げられる。政府は「行政文書の管理に関するガイドライン」を平成二十九年十二月に改正しているが、このガイドラインの改正により、「保存期間一年未満文書」に係る諸課題の解決がなされると評価しているか。

七 「保存期間一年未満文書」と同様に、今回の事件が発生した構造上の原因の一つとして指摘されている、行政文書に係る「組織的に用いるもの」の解釈については、前記六のガイドラインの改正では、従来の解釈の変更は行われなかった。今後、行政文書の管理状況を改善するため、「組織的に用いるもの」の解釈を見直す予定はあるか。

八 公用電子メールについて、一部省庁では、一定の日数を経過すると自動的にメールサーバーから削除している。メールが自動削除されることにより、本来なら公文書として保存すべきものまで削除されてしまう可能性はないのか。また、公文書として保存すべきメールを選別するには余計な手間がかかるのではないかと考える。メールの自動削除を行う理由として財務省ではメールサーバーの容量に限りがあることを挙げているが、例えば、財務省においてメールの保存期間を一年延長するために必要となる費用はどの程度か併せて示されたい。

  右質問する。