第196回国会(常会)
質問第一八八号 「平成三十年七月豪雨」に対する安倍内閣の認識と初動対応に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成三十年七月十八日 山本 太郎
参議院議長 伊達 忠一 殿 「平成三十年七月豪雨」に対する安倍内閣の認識と初動対応に関する質問主意書 本年六月末から七月初頭にかけての台風七号の接近及び日本列島に停滞していた梅雨前線を原因とした、いわゆる平成三十年七月豪雨(以下「当該豪雨」という。)によって、西日本を中心として未曾有の激甚被害が発生した。当該豪雨に関しては、気象庁が、当該激甚被害が発生する以前の七月五日午後二時に、大雨に関するものとしては異例の記者会見を東京及び大阪において行っており、当該記者会見では「七月五日から八日にかけて、非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的大雨となるおそれがある」旨の注意喚起(以下「当該注意喚起」という。)がなされていた。 以上を踏まえて、当該豪雨に対する安倍内閣の認識と初動対応に関して確認すべく、以下質問する。尚、以下の各質問に対しては、当該豪雨による犠牲者、被災者及び被害状況が未だ完全に把握しきれていない現状を踏まえて、また、将来的に激甚災害が再度発生した際の初動対応の教訓とする意味においても、各質問それぞれに対し個別に、安倍内閣として努めて誠実に答弁されたい。 一 当該注意喚起が、安倍首相に伝えられたのは何月何日何時何分か、正確な日時を示されたい。加えて、当該注意喚起を安倍首相に直接伝えた者の氏名を明確に示されたい。 二 当該注意喚起が、小野寺防衛大臣に伝えられたのは何月何日何時何分か、正確な日時を示されたい。 三 前記一に関して、安倍首相が当該注意喚起を認知した後に、当該豪雨に関する指示として最初に発したものについて、誰に対して如何なる指示を何月何日何時何分に発したのか、誠実かつ詳らかに示されたい。 四 前記二に関して、小野寺防衛大臣が当該注意喚起を認知した後に、当該豪雨に関する指示として最初に発したものについて、誰に対して如何なる指示を何月何日何時何分に発したのか、誠実かつ詳らかに示されたい。 五 自民党の片山さつき参議院議員は、本年七月五日午後十時五十八分、自らのツイッターに「今日は二十七回目の♯赤坂自民亭@議員宿舎会議室、若手議員との交流の場ですが、♯安倍総理 初のご参加で大変な盛り上がり!内閣からは♯上川法務大臣♯小野寺防衛大臣♯吉野復興大臣 党側は♯岸田政調会長♯竹下総務会長♯塩谷選対委員長、我々中間管理職は、若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」と投稿をしている。当該投稿によれば、七月五日の夜に行われた自民党議員らの会合(以下「赤坂自民亭」という。)に、安倍首相は「初のご参加」、上川法務大臣、小野寺防衛大臣及び吉野復興大臣は「内閣から」の参加とされているが、安倍首相を始めとした当該各閣僚は、赤坂自民亭に安倍内閣の閣僚としての立場で参加したのか、あるいは政治家個人の活動として参加したのか、いずれであるのかを明確に示されたい。 六 前記五に関して、安倍首相及び小野寺防衛大臣は、赤坂自民亭において飲酒をしていたとの理解でよいか。安倍首相及び小野寺防衛大臣が安倍内閣の閣僚としての立場での参加あるいは政治家個人の活動としての参加、そのいずれであるかにかかわらず、安倍内閣として把握している赤坂自民亭における飲酒の有無について、誠実かつ明確に示されたい。 七 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)は第六十五条第一項において「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」として酒気帯び運転等の禁止を規定している。警察庁のホームページによると、「飲酒時には、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが低下している状態」になると説明されている。飲酒によって、情報処理能力、注意力、判断力などが低下するという、飲酒が人体に及ぼす影響については、安倍内閣も同様の認識であるとの理解でよいか、明確に示されたい。 八 小野寺防衛大臣は七月十日の記者会見において、赤坂自民亭に関して問われ「私もその会に出ておりましたが、(中略)特に防衛省からは随時連絡が来ておりましたし、その都度指示を出しておりましたので、特に支障はないと思っております。」と答弁した。当該答弁の「防衛省から」随時来ていたとの「連絡」は、小野寺防衛大臣が赤坂自民亭に参加した時刻以降、翌朝午前八時までの間(以下「当該時間帯」という。)に何回あったのか、またその連絡における報告内容を、連絡のあった正確な日時とともに全て詳らかに示されたい。加えて当該連絡に対して小野寺防衛大臣が「その都度」出していたとする「指示」は、当該時間帯に何回出されたのか、またその指示内容を、指示を出した正確な日時とともに全て詳らかに示されたい。 九 前記五から八に関して、小野寺防衛大臣が赤坂自民亭において飲酒をしていた場合、当該時間帯において、酒気を帯びている閣僚が当該豪雨に関する指示を出していた事実が存在するとの理解でよいか。小野寺防衛大臣の赤坂自民亭への参加が、安倍内閣の閣僚としての立場での参加あるいは政治家個人の活動としての参加、そのいずれであるかにかかわらず、安倍内閣として把握している、当該時間帯における酒気を帯びた閣僚による当該豪雨に関する指示の有無について、誠実かつ明確に示されたい。 十 安倍首相が、赤坂自民亭に参加した時刻以降、翌朝午前八時までの間及び七月七日午前十一時四十九分に私邸に入った後、七月八日の「平成三十年七月豪雨非常災害対策本部会議(第一回)」に出席するまでの間に、当該豪雨に関して発した指示は存在するか。その指示が存在する場合は、それが誰に対しての如何なる指示であり、何月何日何時何分に発せられたものであるかも含め、その全てを誠実かつ詳らかに示されたい。 十一 赤坂自民亭に参加した自民党の竹下亘総務会長は記者会見において「もう開いてしまっておりますので、どのような非難もお受けしようと思っております。」と述べ、さらに当該豪雨に関して「正直言ってこれだけ凄い災害になるという予想を私自身は持っていなかった」との認識を述べたとされている(以下「竹下氏の釈明」という。)が、安倍首相及び小野寺防衛大臣も、赤坂自民亭に参加していた時点においては、竹下氏の釈明と同様の認識を持っていたとの理解でよいか、安倍内閣としての認識を誠実に示されたい。一方、安倍首相及び小野寺防衛大臣の赤坂自民亭参加及び当該豪雨に対する認識が、竹下氏の釈明と異なる場合は、それが如何なる認識であったのか、誠実かつ明確に示されたい。 十二 菅官房長官は本年七月六日の記者会見において、安倍首相が参加した赤坂自民亭に関して問われた際に「大雨に対しての対応というものは問題ない」と述べ、安倍首相は、七月十一日に被災地を訪れ、政府の初動対応に関して記者から問われた際に「政府として一丸となって、発災以来全力で取り組んでまいりました」と述べた。安倍内閣が七月八日に平成三十年七月豪雨非常災害対策本部会議(第一回)を開催した時点以降現在に至るまで、安倍首相、小野寺防衛大臣及び西村官房副長官が七月五日に、赤坂自民亭に参加し飲酒していたことは、未曾有の激甚被害をもたらした当該豪雨に対する初動対応として省みた場合においても、何ら問題なく不適切ではなかった、との認識を安倍内閣として有しているのか、誠実かつ明確に示されたい。 右質問する。 |