質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一八二号

私立大学研究ブランディング事業の選定と選定された大学の事業継続可能性についての評価に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十七日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   私立大学研究ブランディング事業の選定と選定された大学の事業継続可能性についての評価に関する質問主意書

 私立大学の機能強化を目的として「私立大学研究ブランディング事業」が平成二十八年度より実施されているところである。この事業では、国際的な発展性を企図する世界展開型のタイプBと、地域社会に貢献することを企図した社会展開型のタイプAの二つの事業がデザインされており、世界的研究を創生することだけに奔走する研究型大学だけではなく、地域の「知の拠点」として地域社会と協働し、地域社会の発展に寄与する大学を支援することも念頭におかれており、産官学連携の芽を全国津々浦々まで広げようとする素晴らしい試みであると期待するところである。
 しかしながら、地方創生に寄与する研究活動を活性化させるために地方大学に焦点を絞ってこうした事業を展開させたとしても、本事業により支援を受ける私立大学が継続して選定された取組を営むだけの体力がなければ、たとえそれが素晴らしい取組であったとしても短期的な取組にとどまり、地域社会の継続的な発展に寄与することはないといわざるをえない。
 また、本事業によって交付される補助金によって、経営困難な状況にある私立大学が延命するようなことがあっても、それは、必ずしも地域社会にとって有益なこととはいえないのではないかと危惧するところである。たとえば、地域社会にとって必要な私立大学であると当該地域社会が考えるのであれば、当該私立大学の事業継続性について地域社会と当該私立大学が協働して対処するべきだと考えるものである。私立大学が、国費に依存して存続するという事態は、国家財政にゆとりがある時代ならばまだしも、国家財政が厳しく社会保障費までをも削減している現状にあって、いささか私立大学に限って優遇しているというそしりを免れない。

一 本事業に選定された大学の事業継続性に焦点をあてた場合、事業継続性の有無を判断する指標の一つに定員充足率というものがあるが、本事業に選定された大学において、複数年にわたり継続して定員を充足していない私立大学はあるのかどうかについて明らかにされたい。また、複数年にわたり定員を充足していない私立大学にあっては、当該私立大学において定員を充足するために具体的な対策が講じられ、成果がうまれているかどうかなどについて、本事業の選定にあたって審査項目としていたのかどうかについて明らかにされたい。

二 本事業の選定にあたって私立大学の事業継続性について評価検討を実施していないとすれば、定員を充足していない私立大学に対して、漫然と何ら対策を求めないことの理由について、とくに補助金等の国費を投じているという論点から明らかにされたい。

三 本事業が私立大学の保有する研究機能に着目し、地方創生の目玉としてその機能を活用するという趣旨であれば、地方創生予算を充当するのが適当であると考えるものである。また、私立大学の存続が危うい状況にあっても、その研究機能が地方創生に資するという判断を地域社会が認めるのであれば、私立大学として存続するのではなく、研究機関として存続することを模索するなどの方法もあると考えられる。政府は、経営状況が苦しい私立大学の存続方法について、何らかの施策を考えているのかについて、前記研究機関への転換などといった観点も踏まえて見解を明らかにされたい。

  右質問する。