質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一七四号

IoTやビッグデータ解析、人工知能、ロボット等の活用拡大による我が国電機産業の発展に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十一日

石上 俊雄   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   IoTやビッグデータ解析、人工知能、ロボット等の活用拡大による我が国電機産業の発展に関する質問主意書

 昨年提出した、「IoTやビッグデータ解析、人工知能等のイノベーション利活用による「日本版・第四次産業革命」を見据えた我が国電機産業の発展に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第一三九号)に対する答弁書(内閣参質一九三第一三九号)が閣議決定されてから、約一年が経過している。この間のIoTやビッグデータ解析、人工知能、ロボット等の活用拡大による我が国電機産業の発展に関する取組みを踏まえ、以下のとおり質問する。

一 人工知能(AI)活用環境の整備について

1 AIが社会の隅々まで浸透する近未来に備え、就労者に求められる資質や能力・スキルを整理し、AI技術やその活用方法について習得する環境の整備を加速していくべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 AIによって事故等の不具合が発生した際の責任の所在や知的財産が生み出された場合の権利の帰属等、倫理や社会制度に関する議論を深め、ルールの整備を推進するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

二 IoT時代に相応しい情報・通信環境整備の加速について

1 スマートフォンや交通系ICカード等を活用し、街中や公共施設のデジタルサイネージ、商業施設や宿泊施設等において、訪日外国人、高齢者、障がい者を含め、誰もが必要な情報やサービスを適時適切に入手できる高度な都市サービスについて、東京オリンピック・パラリンピックの開催される二〇二〇年を目途に社会実装が実現されるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 4K・8Kのテレビ放送について、二〇二〇年には多くの視聴者が番組を視聴できる環境を整備するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 世界最高水準の情報・通信環境整備を国内で実現すべく、自動車、家電、ロボット、各種センサー等IoT機器の急増に対応した5G、WiFi、LPWA等通信技術の研究開発や社会実装をより一層強力に推進するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

三 ビッグデータ利活用ルールの整備について

1 個人情報保護を大前提に、データ利活用のさらなる推進を図るため、新たに明らかになったビッグデータ利活用の有用な事例や問題となった事例について、当該事例が明らかになり次第速やかに、関連するガイドラインやQ&A等に反映させていくべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 多国で事業展開する企業が、データ利活用を円滑に行えるよう、国際的なルールの周知を図るとともに、EUや米国等の個人情報保護制度との整合性を確保するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 今年五月に成立した不正競争防止法等の一部を改正する法律に基づき、現在、検討が行われているデータの不正流通防止のためのガイドラインにおいて、保護対象となるデータの範囲及び規制対象となる行為類型等を明確化するとともに、データを実際に取扱う各現場にとって理解しやすいものになるよう配慮するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
4 医療データについて、情報のフォーマットをできる限り統一し、国内のクラウド上で情報交換ができる仕組みを構築し、医療の徹底的な効率化による国民医療費の削減を図るべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
5 国民の情報リテラシーを向上させ、また、データ利活用のメリット・デメリットについての国民の理解を深め、データに関わる不安や不満が払しょくされるよう取組むべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

四 防災・減災対応の強化について

 集中豪雨や地震等の自然災害やインフラ老朽化に伴う事故リスクに対応するため、自動車や各種センサー、ツイート等から収集できる情報のビッグデータ化や、AI分析を通じた異常予兆の早期検知システムの社会実装の具体化を着実に進展させるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

五 サイバーセキュリティ対策の強化について

1 サイバー攻撃に対し、産官学が連携して対策を講じるとともに、早期の情報共有や研究開発に関する取組みを強化し、国際的な連携やルールづくりを行うべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 国家資格「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」の周知と普及拡大を図る等、情報セキュリティ人材の育成を抜本的に強化するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 システム導入や認証キー開発等への設備投資といったサイバーセキュリティ対策を支援するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

六 他産業へのロボットやIT導入による効率化促進について

1 ロボットやIT関連の商品・技術開発に際し、顧客のニーズ(求めていること)やペインポイント(困っていること)と、メーカーのシーズ(技術やノウハウ)が、研究開発のプロセスで相互作用することでイノベーションが起きるような、いわば「出会いの場づくり」を国としても促進するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 人手不足が深刻な介護現場の負担軽減につながるコミュニケーションロボット及びパワーアシストスーツ等の導入を促進するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 前記六の2のコミュニケーションロボット及びパワーアシストスーツ等の開発に関しては、研究開発に関する安全基準等の法規制やガイドラインの整備が進められているが、先例の少ない分野であり、国として、様々な研究開発の実態をフォローして、対応方針を継続的にアップデートするべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
4 高齢者や障がい者等をサポートするAIやロボット技術の研究開発に対する支援を強化するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
5 ドローンやロボット等新技術の利活用において、実証実験を行いやすくするために、実験場所の増設や実験実施の手続きの簡素化を促進するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
6 ロボット開発の国際競争力強化とロボット利活用推進のために、OS(オペレーションシステム)や住空間での活用に関するガイドラインの策定や、共通規格化等を含めロボティクス共通基盤の整備を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

七 自動運転システム開発の推進について

1 自動運転システムの公道における実証実験を加速させ、早期の社会実装を実現させるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 自動車は、複数の国境を越えて生産や販売が行われる製品であり、将来の自動運転システムの普及を考えると、例えば、センサー技術やソフトウェアの開発ガイドライン等といった、国内外のメーカー間で共通化できる分野は共通化・標準化を進めるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 自動運転システムについての国際的な議論を踏まえつつ、事故や不具合発生時の責任の所在、交通ルール等を明確にする取組みを加速させるべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

八 電子行政の推進について

 行政分野におけるIT化の推進を抜本的に強化し、申請のワンストップ化や書式・様式の統一化等、効率化とサービスの向上をより一層加速するべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

  右質問する。