質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一六一号

同一労働同一賃金を理由とした正規雇用労働者の労働条件の引下げの可否に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   同一労働同一賃金を理由とした正規雇用労働者の労働条件の引下げの可否に関する質問主意書

 政府は、企業における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の実効ある是正を図るため、同一労働同一賃金政策により、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を図ることとしている。
 同一労働同一賃金の実現を理由とした正規雇用労働者の労働条件の引下げの可否について、以下の通り質問する。

一 同一労働同一賃金を実現するため、正規雇用労働者の労働条件の引下げにより非正規雇用労働者の労働条件と同一にすることが、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の趣旨と異なるということは、国会における審議において明確にされている。そうであるならば、同一労働同一賃金の法制化は、正規雇用労働者の待遇を引き下げるためのものであってはならず、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を理由とする労働条件の不利益変更は認められないと労働契約法で明確に規定するべきではないか。

二 正規雇用労働者の不利益に労働条件を変更する場合には、労働契約法上、原則として、労使双方の合意が必要となるとされている。したがって、労使双方の合意が重要となってくるが、現在の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の待遇差は、企業内の労使関係によって生じたものであり、この解決を労使協議に委ねるのであれば、同一労働同一賃金の実現はお題目に終わるのではないかという懸念がある。また、労使協議に委ねるとしても、交渉力のある労働組合が存在しない企業においては、労使協議が形骸化する懸念もある。これらの懸念に対して、政府はどのように考えているか。

三 労使双方で合意することなく就業規則の変更により正規雇用労働者の不利益に労働条件を変更する場合は、合理的な変更でなければならないとされている。労使双方の合意がない場合の就業規則の変更による正規雇用労働者の労働条件の引下げに関して、政府は、どのような場合には不利益な変更が認められるとしているのか例示されたい。

四 前記三の労働条件の不利益変更について、少なくとも正規雇用労働者の総人件費が減少する場合には、当該変更は不合理なものと認めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。