質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五七号

高度プロフェッショナル制度に係る諸論点に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   高度プロフェッショナル制度に係る諸論点に関する質問主意書

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下「働き方改革関連法」という。)において、特定高度専門業務・成果型労働制(以下「高度プロフェッショナル制度」という。)の創設が図られている。本制度は、職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識等を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置を講じること、本人の同意や労使委員会の決議等を要件として、労働基準法第四章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用除外とするものである、とされている。
 当該制度に関し、以下の通り質問する。

一 高度プロフェッショナル制度では、同制度の対象となる労働者に対し、「自らが行う業務の量についての裁量」は保障されているか。保障されているならば、その旨を規定している働き方改革関連法の根拠条文を示されたい。

二 高度プロフェッショナル制度において、使用者が業務遂行にあたり、同制度の適用を受ける労働者に対し指揮命令をすることは認められているか。認められている場合、その指揮命令には、当該労働者の業務時間についての指示も含まれ得るか。

三 高度プロフェッショナル制度の対象となり得る労働者は、目安として年収一千七十五万円以上という高収入を得ている者が想定されているようだが、政府は、高収入を得ている労働者は長時間労働に耐えられると考えているのか。高収入であることを同制度の適用を受けるための要件の一つとした根拠を示されたい。

四 高度プロフェッショナル制度の趣旨として「成果で評価される働き方」があげられているが、働き方改革関連法では、同制度の適用を受ける労働者の「成果」に応じて賃金を支払うべきことが使用者に義務付けられているわけではない。同制度を導入した結果、同制度の対象となる労働者の平均賃金は減少することが指摘されているが、政府の見通しを明らかにされたい。また、厚生労働省はこの指摘に対し、労使委員会において同制度の対象となる労働者を決議するにあたって、同制度の対象になることによって賃金が減らないよう、法定の指針に明記する方針であるとしているが、同指針の策定によって、労働者が同制度の対象となることにより賃金が減少することを抑止できると考えているのか。

五 高度プロフェッショナル制度の対象となる業務は、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務とされている。政府は、同制度の年収要件の目安とされる一千七十五万円以上の年収を有する労働者のうち、当該業務に従事する者がどの程度いると推定しているか。

  右質問する。