質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五六号

労働者の立場に立った「働き方改革」推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   労働者の立場に立った「働き方改革」推進に関する質問主意書

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下「働き方改革関連法」という。)に関し、以下の通り政府の見解を問う。

一 「働き方改革」の目指すべき方向性として「働く人々が世界一働きやすい国」を目指すべきと考える。これに対する政府の見解を明らかにされたい。

二 働き方改革関連法には、労働分野に関する多岐にわたる改革内容が盛り込まれており、厚生労働省だけで対処することは困難である。そのため、働き方改革関連法における雇用対策法の一部改正では、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができるものとする、と規定されている。この厚生労働大臣の要請には、どの程度法的拘束力があるのか。また、関係行政機関の長が厚生労働大臣の要請に応じない場合、どのような調整をどのように行うのか。それぞれ明らかにされたい。

三 働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制に係る規定の施行期日を平成三十一年四月一日としている。ただし中小企業については、平成三十二年四月一日から適用することとされ、一年間後ろ倒しされている。時間外労働の上限規制を導入することにより中小企業の負担が重くならないように配慮することは当然としても、施行期日を一年間後ろ倒しすることによって、人手不足の状態にある中小企業において、先行して時間外労働の上限規制が導入される大企業の分まで、長時間労働が蔓延することが懸念される。この懸念に対して政府はどのように対応するか。

四 働き方改革関連法による改正後の労働基準法第三十六条第七項に基づき厚生労働大臣が定める指針に関し、行政官庁は使用者等に対して必要な助言及び指導を行うことができるとされているが、中小事業主に対して、当該助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するものとされている。当該配慮は、具体的にどのようなことを想定しているのか。

五 労働時間の短縮が進まない背景として、労働時間の短縮に伴う収入減に対する労働者の恐れがある。従って、労使が協力して労働時間の削減に取り組むためには、基本給や時給の引き上げなど、働く時間が短くなっても収入が減少しない工夫が必要であると考える。これに対する政府の認識と取組みを説明されたい。

  右質問する。