質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五三号

公的医療保険制度の維持に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十八日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   公的医療保険制度の維持に関する質問主意書

 二〇二五年には団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者になるなど高齢化が進展する一方、支え手である現役世代の人口が急減していく中、将来にわたって持続可能な医療保険制度を構築するためには、制度改正など一歩踏み込んだ改革に取り組むことが急務である。
 以上の認識の下、以下の通り質問する。

一 国による将来推計人口では、二〇六〇年には一人の高齢者を一・二人の現役世代で支える肩車型社会の到来が予測されている。現役世代の保険料負担に強く依存する現行の仕組みのままで国民皆保険制度を維持できると考えているのか、認識を明らかにされたい。

二 高齢者医療のための拠出金は、平成三十年度、健保組合の義務的経費の四十七%を占める。健康保険組合連合会の推計によれば、団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年にはこの割合が五割を超すと見込まれている。政府においては、二〇二五年度、二〇四〇年度に健保組合の義務的経費に占める拠出金の割合がどの程度になると予測しているのか、見通しを示されたい。
 「保険」とは、本来、お互いに費用を少しずつ出し合い、リスクが現実になった際に既往分の給付を受けられるものである。すなわち、保険料を支払う加入者自身のための仕組みであるが、加入者への保険給付よりも高齢者医療への拠出金が多い状態は、「保険」の名に値すると考えているのか、見解を明らかにされたい。

三 健康保険組合連合会の調査によれば、保険料率が協会けんぽの平均保険料率(十%)以上の健保組合は、平成三十年度で三百十三組合(同調査に回答した組合の約二十三%)となっており、近年急増している。また、介護保険料率が協会けんぽの介護保険料率(一・五七%)以上の健保組合は、同じく五百九十一組合(同四十三・一%)に上っている。協会けんぽの平均保険料率又は介護保険料率以上の保険料率又は介護保険料率となっている健保組合は、解散して協会けんぽに移行した方が、会社も社員も負担が軽くなる。このような健保組合は解散する可能性が高いと考え、政府として対策をとるべきと考えるが、対策の方針を明らかにされたい。

四 協会けんぽに対しては、保険給付費などの一部を国が補助している。補助金の額は今年度予算では一兆一千七百四十五億円に上る。前記三の解散する可能性が高い健保組合が実際に解散して協会けんぽに移行した場合、どの程度の国庫負担増となるのか、試算を行い明確にすべきと考えるが、政府の見解如何。

五 政府が実施している「財政の悪化した組合に対する財政支援」は、どの程度の予算規模で実施しているのか。健保組合の財政悪化の主な要因は、高齢者医療への拠出金である。報酬水準が平均以下で、拠出金負担割合が高い健保組合に対して行われている「特別負担調整」等、現在実施されている拠出金の負担軽減策について拡充を検討すべきではないか。また今秋までの実施を明言している「財政が悪化する前の段階からの健保組合の支援」についてはどの程度の予算規模で実施することを想定しているのか。

  右質問する。