質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五〇号

「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十五日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」に関する質問主意書

 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「TPP11」という。)について、以下の通り質問する。

一 TPP11に規定された凍結項目の解除について、二〇一八年六月五日の参議院外交防衛委員会では「凍結項目の解除には全締約国の合意が必要であり、いかなる手続が必要であるかは合意の具体的な内容によって異なる」という旨の答弁がなされた。この答弁によれば、ある凍結項目について日本以外の各国が凍結解除に合意していたとしても、時の日本政府や国会の判断で凍結されたままにするという選択肢も取りうる。すなわち、凍結の維持と解除のいずれが国益に叶うのか、締約国間で凍結項目の解除が議題となった際に改めて日本が判断する機会が今後得られるという理解でよいか。

二 前記一の委員会において、凍結解除のための国内手続について、「個別具体的な事案に即して必要となる適切な国内手続を判断することになる」との答弁もなされた。この答弁によれば、凍結を維持するか解除するかという二者択一のものではなく、「一部解除」も含めて「変更の上解除」等の選択肢も取りうるという解釈でよいか。

三 投資家と国との間の紛争解決(以下「ISDS」という。)は、投資受入国の国家主権を侵害し得るものだが、政府は、環太平洋パートナーシップ協定(以下「TPP12」という。)の審査において、ISDSは企業が投資を行う際の予見可能性や法的安定性を高めるもので、濫訴を抑制する規定も設けられていることから、国家主権が脅かされることはないと説明してきた。それにも関わらず、TPP11の交渉過程で凍結項目が二十二項目に絞り込まれる中で、TPP12で認められていたISDSのうち、「投資の許可」や「投資に関する合意」の違反を理由として請求を仲裁に付託する規定が凍結項目に盛り込まれたのはなぜか。TPP12の当該ISDSは、国家主権の侵害に当たると日本以外の十箇国が判断したからではないのか。

四 TPP12において、米国を含む参加国と日本との間でサイドレターが作成されていた。政府は、TPP12が発効しない場合のサイドレターについて、「我が国が自主的にタイミングを考え、実施していくことになる」と説明していたが、TPP12におけるサイドレターは効力を有しているのか。まだ効力を有していないとすれば、どのような条件を満たせば効力が発生することになるのか。米国との間のサイドレター及び米国以外の締約国との間のサイドレターのそれぞれについて説明されたい。

  右質問する。