質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一四〇号

我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月十五日

石橋 通宏   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国における難民認定の状況に関する質問主意書

一 難民認定実務の実績について

1 実績概要
(1) 二〇一七年の難民認定申請件数と難民認定件数を示されたい。また、それぞれについて性別の内訳を示されたい。
(2) 二〇一七年に難民として認定された者(審査請求手続における認定者を含む。以下同じ。)全てについて、難民認定の理由を、難民認定申請書の質問一「もしあなたが本国に戻った場合に、迫害を受ける理由は次のどれですか」の選択肢として示されている、①人種、②宗教、③国籍、④特定の社会的集団の構成員であること、⑤政治的意見、⑥その他(以下「カテゴリー」という。)別に示されたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、今後の難民問題に対する我が国の更なる効果的な取組を考える上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
(3) 二〇一七年末時点で、難民認定申請中の人数、同日時点での収容の有無、申請年ごとの内訳及び国籍の内訳とその人数をそれぞれ示されたい。また、このうち二〇一四年十月以前の難民認定申請者については、いまだに申請が継続している主たる理由が、①事実確認に時間が必要な案件であること、②難民認定申請者からの立証資料の提出等に期間を要したこと、③難民認定申請件数の急増により難民認定申請に係る事務手続が相当程度輻輳したこと、④その他のうちどれに当たるのか、それぞれ人数を明らかにされたい。加えて、二〇一八年一月十五日より、真の難民の迅速な保護に支障を生じさせないようにするため、難民認定制度の更なる運用の見直しが行われたが、その効果はあったか説明されたい。
(4) 二〇一七年末時点で、審査請求(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正前の出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第六十一条の二の九第一項の規定による異議申立てを含む。以下同じ。)継続中の人数、同日時点での収容の有無、申請年ごとの内訳及び国籍の内訳とその人数をそれぞれ示されたい。
(5) 二〇一七年の難民認定申請者の申請時の在留状況を、これまでの申請回数ごとに示されたい。
(6) 二〇一七年に審査請求の結果が出た件数と、難民認定申請を行ってからの平均審査期間を示されたい。このうち、認定、不認定別の平均審査期間についても明らかにされたい。
2 難民認定について
(1) 難民認定事務取扱要領は、難民認定申請案件を「難民条約上の難民である可能性が高い案件、又は、本国が内戦状況にあることにより人道上の配慮を要する案件」(A案件)、「難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件」(B案件)、「再申請である場合に、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件」(C案件)及び「上記以外の案件」(D案件)の四類型に振り分けている。
 二〇一七年に難民として認定された者について、国籍別の認定数を示されたい。また、そのうちD案件に振り分けられていた者の人数と認定に要した平均日数をそれぞれ示されたい。
(2) 二〇一七年に難民として認定された者について、申請の処理に要した期間(申請日から認定の告知がなされた日までの日数)を示されたい。
(3) 二〇一七年に難民として認定された者及び人道配慮による在留許可を受けた者(入管法第六十一条の二の二第二項による在留特別許可を受けた者、人道上の配慮を理由に在留が認められ在留資格変更許可を受けた者を含む。以下同じ。)のうち、二回目以降の難民認定申請手続又は審査請求手続で認定又は人道配慮による在留許可を受けた者の数を明らかにされたい。
(4) 二〇一七年に難民として認定された者及び人道配慮による在留許可を受けた者について、難民認定申請時(複数回申請の者は初回申請とする。)の在留資格と難民認定もしくは人道配慮による在留許可を受けた時点の在留状況の内訳を示されたい。また、難民として認定された者及び人道配慮による在留許可を受けた者のうち、収容されていた者はそれぞれ何人いたか明らかにされたい。
(5) 二〇一七年に行われた難民認定申請に際し、難民認定申請書が日本語以外の言語で書かれていた件数を言語別に示されたい。また、このうち、入国管理局として翻訳サービスを提供した件数を言語別に示されたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、今後の難民問題に対する我が国の更なる効果的な取組を考える上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
(6) 二〇一七年に人道配慮による在留許可を受けた者について、その許可理由をカテゴリー別に示されたい。
3 案件振り分けについて
(1) 二〇一五年九月から二〇一八年三月末までに振り分けた案件について、前記2の(1)の四類型のそれぞれの件数と、案件ごとの平均処理期間を四半期ごとに示されたい。また、D案件については申請回数ごとの平均処理期間の内訳も示されたい。
(2) 二〇一五年九月から二〇一八年三月末までの間における、月別の前記2の(1)の四類型の振り分け数、案件ごとの処理件数、案件ごとの難民認定申請件数及び案件ごとの人道配慮による在留許可者数をそれぞれ示されたい。
(3) 二〇一六年における難民認定申請件数の上位十か国(インドネシア、ネパール、フィリピン、トルコ、ベトナム、スリランカ、ミャンマー、インド、カンボジア、パキスタン)と、二〇一七年における難民認定申請件数の上位二十五か国(フィリピン、ベトナム、スリランカ、インドネシア、ネパール、トルコ、ミャンマー、カンボジア、インド、パキスタン、バングラデシュ、中国、イラン、ガーナ、カメルーン、チュニジア、ナイジェリア、セネガル、ウガンダ、タイ、モンゴル、コンゴ民主共和国、ギニア、エジプト、エチオピア)のそれぞれについて、前記2の(1)の四類型に割り振られた数をそれぞれ示されたい。
(4) 二〇一七年に振り分けられた前記2の(1)の四類型の一次手続について、法務省本省の入国管理局長が請訓不要としてあらかじめ指定した類型の案件のうち、難民と認定することを地方入国管理局長が自ら決定して、難民認定証明書を作成した案件が何件あるか明らかにされたい。
4 一次審査について
(1) 二〇一七年の難民認定手続の一次審査で、本人以外の者がインタビューに同席した数を示されたい。仮に統計をとっていないのであれば、適切な審査の方法を検討する上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
(2) 二〇一七年の難民認定手続の一次審査の最長処理期間、最短処理期間及び平均処理期間を示されたい。また、認定、不認定別の平均審査期間についても明らかにされたい。
(3) 二〇一七年の難民認定手続において、一次審査のインタビューは総計何回行われたか。また、同年に難民の認定を受けた者と不認定となった者について、一次審査におけるインタビューの平均回数をそれぞれ示されたい。仮に、不認定となった案件のうち、インタビューが一度もなされなかった例があるならば、その件数と、前記2の(1)の四類型別の内訳をそれぞれ明らかにされたい。加えて、一次審査においてインタビューが一度もなされなかった例について、その理由が①難民認定申請をした者から聴取をしなくても同人から提出された立証資料により事実確認が可能であると認めたこと、②同一世帯に属する複数の者が同時に難民認定申請をしたためにその世帯の代表者から聴取することで足りると判断したこと、③その他のいずれに該当するのか明らかにされたい。仮に統計をとっていないのであれば、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
(4) 二〇一七年に出された一次審査による難民不認定について、不認定結果が出たのちに在留資格の更新を許可されなかったケースはあるか。あるならば、その人数を示されたい。また、在留資格の更新が許可された者については、その在留資格の種別ごとに就労許可の有無別の人数をそれぞれ示されたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、難民認定制度の適切な運用を検討する上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
5 訴訟について
 難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、二〇一七年に提起された件数、当該期間に終局裁判がなされた件数を明らかにされたい。加えて、難民不認定処分の確定又は難民不認定処分が取消し若しくは無効とされた後、難民認定及び在留資格が付与されなかったケースはあるか。付与されなかったケースがある場合は、その理由をあわせて示されたい。仮に統計をとっていないのであれば、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 未成年の難民認定申請について

1 二〇一六年及び二〇一七年の未成年者の難民認定申請件数とその年齢別内訳を年ごとに示されたい。また、いわゆる保護者のいない未成年者の難民認定申請件数も年ごとに示されたい。仮に、いわゆる保護者のいない未成年者の難民認定申請件数について統計をとっていないのであれば、未成年者の難民の適切な保護を行う上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 難民認定申請手続が長期化する傾向にあると思われるが、その間に、申請者が同伴した子どもが初等・中等教育のほとんどを日本で受けたような場合、在留特別許可に係るガイドラインに沿って、在留特別許可もしくは人道配慮による在留許可を与える方針なのか、政府の見解を示されたい。
3 未成年者を同伴している難民認定申請者について、二〇一六年及び二〇一七年に収容された者の件数、平均収容期間及び最長収容期間を男女別に示されたい。加えて、未成年者を同伴してきた保護者が全員同時に収容された事例があれば、その件数を示されたい。
4 二〇一六年及び二〇一七年に保護者の収容を理由に、入国管理局が児童相談所もしくは乳児院に当該保護者の子どもの一時保護を依頼した件数をそれぞれ示されたい。また、保護を依頼した子どもの年齢の内訳と、児童相談所もしくは乳児院への平均入所期間及び最長入所期間をそれぞれ示されたい。
5 二〇一六年及び二〇一七年に収容された者のうち、収容開始時に未成年者だった者の人数と年齢の内訳及び年齢別の平均収容期間及び最長収容期間を示されたい。

三 難民審査参与員制度について

1 二〇一七年に審査請求手続で裁決(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正前の入管法第六十一条の二の九第三項の規定による決定を含む。以下同じ。)が出された事案について、「理由あり」とされた事案と「理由なし」とされた事案の件数をそれぞれ示されたい。
2 前記三の1の「理由なし」とされた事案の中で、①法務大臣が意見を聴いた三人の難民審査参与員のうち二人以上が審査請求に理由があり難民の認定をすべきである旨の意見を提出したにもかかわらず、法務大臣が不認定とした事案と、②法務大臣が意見を聴いた三人の難民審査参与員のうち一名でも審査請求に理由があり難民の認定をすべきである旨の意見を提出した事案のそれぞれの件数と、全ての事案の国籍と理由を明らかにされたい。
3 前記三の2の①及び②の事案の中で、人道配慮による在留許可を受けた者の数及びその後の手続で難民認定又は人道配慮による在留許可を受けたケースはあるか。もしあるとすれば、その数を示されたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、今後の難民問題に対する我が国の更なる効果的な取組を考える上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
4 二〇一七年に審査請求手続で裁決が出された事案について、法務大臣が意見を聴いた三人の難民審査参与員のうち二人以上が難民該当性を否定する旨の意見を提出したにもかかわらず、法務大臣が難民として認定した事案の件数及びその全ての事案の国籍と理由を明らかにされたい。
5 二〇一七年に行われた審査請求手続において、難民審査参与員による口頭意見陳述・審尋は総計何回行われたか。また、同年に行われた審査請求手続で裁決が出された事案について、口頭意見陳述・審尋の平均回数を示されたい。仮に、「理由なし」となった案件のうち、口頭意見陳述・審尋が一度もなされなかった例があるならば、その件数も明らかにされたい。加えて、口頭意見陳述・審尋が一度もなされなかった例について、その理由を①難民認定申請をした者から聴取をしなくても同人から提出された立証資料により事実確認が可能であると認めたこと、②同一世帯に属する複数の者が同時に難民認定申請をしたためにその世帯の代表者から聴取することで足りると判断したこと、③その他のいずれに該当するのか明らかにされたい。
6 二〇一四年に入管法が一部改正され、難民不認定処分に対する不服申立てに際し、審査請求人に口頭意見陳述の機会を与えなくてもよいこととされたが、その趣旨について説明されたい。

四 仮滞在について

1 仮滞在について、難民認定申請から仮滞在の許可の判断までの二〇一七年における平均審査期間を示されたい。このうち、許可、不許可別の平均審査期間についても示されたい。
2 仮滞在中に逃亡した人数の統計はあるか。あるとすれば、その数を最新の統計に基づいて示されたい。

五 仮放免について

 二〇一三年から二〇一七年までの各年について、逃亡、不出頭又は仮放免の条件違反を事由として仮放免を取り消した人数の統計はあるか。あるとすれば、それぞれの事由別の数を示されたい。

六 空港等での庇護申請関係の統計について

1 二〇一七年に一時庇護上陸許可を申請した者の数、許可状況及び申請の処理に要した期間を国籍別に示されたい。また、不許可処分を受けた者のうち、不許可の通知後、難民認定申請を行った者の数、国籍及び不許可の通知後に国籍国に帰国した者の数を示されたい。不許可処分を受けた者の状況について、仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 二〇一七年において、国際空港等の出入国港において口頭又は文書で庇護を求め、その審査のために、入国管理局の収容場以外の場所(出国待機施設や「成田エアポートレストハウス」などの入管法第十三条の二第一項により指定される施設や入管法第五十六条が定める協力義務に基づいて運送業者等が決定する民間宿泊施設等)にて身柄を留め置かれていた者の数及び留め置かれていた期間を明らかにされたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、空港等での庇護申請手続の適正化を考える上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 一時庇護上陸許可申請中の者が難民認定申請を希望する場合には、誰が当該申請に対応し、申請書の交付・受理・審査をどのように行うのか、明らかにされたい。
4 一時庇護上陸許可の手続中である者について、弁護士を含め外部の者と電話で連絡することは認められているものの、面会することは認められていない理由及び根拠を明らかにされたい。
5 二〇一七年の我が国の国際空港における難民認定申請件数を、申請が行われた国際空港別に示されたい。このうち、仮滞在を許可した人数と、不許可の人数及び仮滞在不許可の場合はその理由別の人数を明らかにされたい。
6 二〇一七年の我が国の国際空港における上陸拒否件数を、国籍別、空港別にそれぞれ示されたい。

七 保護費の支給状況について

1 二〇一七年度(全期間の統計がとれていない場合はとれている期間。以下七の7まで同じ。)について、保護費の申請者数、受給していた者の数をそれぞれ明らかにされたい。
2 二〇一七年度について、保護費を受給していた者の申請後から受給決定までの平均待機期間、受給していた者の平均受給期間をそれぞれ示されたい。
3 二〇一七年に保護費を申請したが受給できなかった者の数、国籍の内訳、申請から受給結果が出るまでの平均待機期間を明示されたい。また受給できなかった理由が「生活に困窮していることが認められなかったこと」である場合には、その具体的な判断基準、他の理由である場合には、その理由を明らかにされたい。
4 二〇一七年度に保護費を受給した者のうち、申請時の在留状況及び申請者の性別を示されたい。
5 二〇一七年度の難民認定申請者緊急宿泊施設(ESFRA)の申請者数と利用者数を性別、国籍別に示されたい。
6 二〇〇五年度から二〇一七年度までについて、ESFRAを求めたが利用できなかった者の数、国籍、性別、また受給できなかった理由をそれぞれ明示されたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
7 二〇一七年度について、①保護費、②生活費、③住居費及び④医療費のそれぞれの支給額を示されたい。また、二〇一五年度、二〇一六年度及び二〇一七年度のESFRAの予算額及び執行額をそれぞれ示されたい。
8 参議院議員石橋通宏君提出難民認定状況に関する質問に対する答弁書(内閣参質一九三第一四六号。以下「先の答弁書」という。)の「四の3及び7について」には、二〇一五年度「難民認定申請者保護事業等に係る業務仕様書」の(イ)の①に「現金、預金その他の資産見積額の合計が…算定基準額…の合計に満たないこと」と記載しているとあるが、現時点における、「算定基準額」がいくらなのか、明らかにされたい。

八 難民認定の実務について

1 二〇一七年に難民として認定された者のうち、いわゆる「新しい形態の迫害」に当たる者は含まれているか。含まれているのであれば、その人数及びどのような迫害を受けていたのかを明らかにされたい。特に、二〇一四年の「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」では、「ジェンダーに起因する迫害のおそれが認められるもの」などを「新しい形態の迫害」に当たる者として保護を図るよう検討されるべきと提言されていたが、二〇一七年に難民として認定された者及び人道配慮による在留許可を受けた者の中に、ジェンダーに起因する迫害に該当したケースがあったのかどうか、明らかにされたい。
2 また、法務省が二〇一五年九月十五日に公表した「難民認定制度の運用の見直しの概要」の5の(1)において構築するとされていた、いわゆる「新しい形態の迫害」を申し立てる者が難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすか否かの判断に関して「難民審査参与員が法務大臣に提言をし、法務大臣がその後の難民審査の判断に用いるようにするための仕組み」について、先の答弁書の「六の1について」で「現在においても検討中」とされていたが、現在の状況を明らかにされたい。
3 二〇一七年の難民認定制度の「濫用」の件数を示されたい。仮に統計をとっていないのであれば、法務省が二〇一五年九月十五日に公表した「難民認定制度の運用の見直しの概要」の議論を深める上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

九 収容について

1 二〇一〇年から二〇一七年までの期間に入国管理局の収容施設への被収容者のうち、難民認定申請又は不認定処分に対する審査請求に係る決定の告知前だった者、難民不認定処分の取消を求める訴訟係属中だった者及び収容施設に収容された後に難民認定の申請をした者の数を、それぞれ収容された年別に明らかにされたい。また、現在の入国管理局の収容施設への被収容者の数について、難民認定申請中、審査請求中及び難民不認定処分の取消を求める訴訟係属中の段階別に明らかにされたい。加えて、それらの者のうち、収容期間(収容施設を移送された者については合計期間とする)が最も長い者の日数を、収容された年別に明らかにされたい。
2 二〇一〇年から二〇一七年までの入国管理局の収容施設への被収容者のうち、収容回数の内訳を年別に明らかにされたい。仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 二〇一七年において、国際空港等の出入国港から入国者収容所に移送された者の数を示されたい。また、そのうち出入国港にて難民申請を行った者は何人か。加えて、出入国港から入国者収容所に移送された難民認定申請者について、平均収容期間、最長収容期間、自主出国者数、強制送還者数を示されたい。

十 送還について

1 二〇一〇年から二〇一七年までの各年に、国費で送還した者のうち、過去に難民認定申請をしたことのある者の数とその国籍を年別に明らかにされたい。また、そのうち難民認定をしない処分の決定の通知から二十四時間以内又は一週間以内に送還した者の数及びその国籍をそれぞれ年別に明らかにされたい。難民認定をしない処分の決定の通知から二十四時間以内又は一週間以内に送還した者の数及びその国籍について、仮に二〇一七年においても統計をとっていないのであれば、国費送還の正当性を示す上で、是非ともそのような統計をとることを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 入管法第五十三条第三項は、「難民条約第三十三条第一項に規定する領域の属する国」(同項第一号)、「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約第三条第一項に規定する国」(同項第二号)及び「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約第十六条第一項の規定する国」(同項第三号)への送還を禁止する、いわゆるノン・ルフールマン原則を規定している。
(1) 過去五年において、同項第二号及び第三号の適用により、該当する国への送還をしなかった例があるか。ある場合は、件数及び人数、該当する被退去強制者の法的地位をそれぞれ示されたい。
(2) 同項第二号及び第三号については、該当する被退去強制者からの申立制度もなく、証拠提出の機会も法律上見当たらない中で、どのようにノン・ルフールマン原則の実効性を担保しているのか明らかにされたい。
(3) 前記十の2の(2)の現状においては、入国管理局の担当者が積極的に調査する責任を負うと考えるが、政府の見解を示されたい。

十一 運用の見直しについて

1 「難民認定制度の運用の見直しの概要」では、「真の難民」の迅速かつ確実な庇護を推進するとしているが、「真の難民」の庇護の実現は、現時点でどの程度達成されていると考えているか、特に当該資料の5の「保護対象、認定判断及び手続の明確化」、6の「難民認定行政に係る体制・基盤の強化」についてどのような取組がなされているか、明らかにされたい。また、政府が考える今後の取組の課題についても明らかにされたい。
2 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律(平成二十一年法律第七十九号)附則第六十条第二項が、「法務大臣は、この法律の円滑な施行を図るため、現に本邦に在留する外国人であって入管法又は特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のものについて、入管法第五十条第一項の許可の運用の透明性を更に向上させる等その出頭を促進するための措置その他の不法滞在者の縮減に向けた措置を講ずることを検討するものとする。」と規定するのは、不法滞在者の縮減のための措置として、送還だけでなく、許可を与えるべき者に在留許可を特別に与えることを示していると考えるが、政府の見解を示されたい。

十二 難民認定制度運用の見直し状況検証のための有識者会議について

1 二〇一五年九月から二〇一八年三月にかけて、難民認定制度運用の見直し状況検証のための有識者会議による検証対象となった案件数と、検証対象となった案件に係る難民の国籍の内訳を明らかにされたい。また、同期間において有識者会議委員により実際に検証された案件数と、実際に検証された案件に係る難民の国籍の内訳も明らかにされたい。
2 二〇一五年度、二〇一六年度及び二〇一七年度において、難民認定制度運用の見直し状況の検証のための有識者会議はそれぞれ何回開催されたか。明らかにされたい。

  右質問する。