質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一三五号

TPP11の経済効果に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月十二日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   TPP11の経済効果に関する質問主意書

 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下「TPP11」という。)がもたらす経済的影響とその対策について、以下の通り質問する。

一 政府は、TPP11の締結により、我が国企業が新たなバリューチェーンを通じてビジネスチャンスを広げることができると説き、国内企業の競争力強化及び国内産業の活性化に取り組む考えを示しているが、TPP11が産業別にどのような影響をもたらすのかについての分析は行っていない。TPP11が個々の産業に及ぼす影響を具体的に分析せずに、国内企業に対する実効性ある支援を行うことができると考えているのか。

二 我が国はTPP11により農林水産品の八十二・三%の品目に係る関税撤廃を約束している。政府は、関税削減等の影響で、価格低下による生産額の減少が生じるものの、体質強化対策や経営安定対策等の国内対策により、国内生産量は維持されると見込んでいる。
 このような、国内対策を行うから国内生産量は維持されるとする試算はあまりにも恣意的すぎるのではないか。関税削減等が行われても国内生産量は維持されるとする根拠は何か。国内対策を講じない場合の関税削減等の影響についての試算も同様に行い、国民に公表すべきではないか。

三 政府は、TPP11の締結により域内投資の環境整備による国際分業体制の構築を始めとするグローバルな付加価値ネットワーク(グローバル・バリューチェーン)の形成・深化がもたらされるとしている。しかし、このグローバル・バリューチェーンの形成・深化については、個々の企業活動にとってプラスになる側面がある一方、企業に対し人件費の安い生産拠点への移転等を通じた事業効率化を促す側面もある。政府は、TPP11の締結により、国内産業空洞化や国内労働者の雇用喪失がどの程度生じると試算しているのか。また、それに対してどのような対策を検討しているのか。

  右質問する。